受験機会を増やそうと、積極的に入試改革に取り組んでいる獨協大学。2027年度一般入試でも新たに「イブニング入試」を設け、夕方からの受験を可能にする。「受験といえば朝から」という常識が覆る、珍しい入試形式だ。指物敏一入試課長に、イブニング入試の狙いや長所を伺った。
1日に2回受験が可能に? イブニング入試導入の狙い
獨協大学では毎年2月1日に一般入試「全学科統一 前期」を、2月2日に一般入試「学科別」を行っている。しかし2月1日は他大学でも入試を実施するところが多い。そのため受験生が苦渋の選択を迫られているのではと、獨協大学は課題感を抱いていた。
「私たちが調べたところ、2月1日に入試を行う大学は全国で162ありました。本学と併願する傾向の高い大学も、2月1日に入試を実施しています。もしかすると、受験日が重複していることを理由に獨協大学の受験をあきらめざるをえなかった受験生もいたでしょう。もし2月1日の夕方から受けられる入試があれば、日中に他大学を受験したあとでも、獨協大学に挑戦できるかもしれません。こうした理由から、イブニング入試を導入しました」
イブニング入試は、その名の通り夕方から試験を実施する形式だ。2027年度入試の場合、試験ガイダンスの開始時間は16時50分から。そして17時10分から60分間、選択科目をひとつ(国語、日本史、世界史、地理、政治・経済、数学から選択)を受験する。
他大学との入試の掛け持ちはもちろん、同日に実施する獨協大学「全学科統一 前期」との併願も可能だ。札幌から福岡まで全国13会場で受験できるため、多くの受験生にチャンスがある。
「我々としては、受験生の受験機会をなるべく増やしたいと思っています。もしかしたらイブニング入試があることで、もともと獨協大学の受験を考えていなかった方も挑戦してくれるかもしれません」
受験生や保護者の負担を増やさない工夫
イブニング入試に出願するためには条件がある。大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の「英語(リスニングを含む)」を受験しておくことだ。獨協大学は「語学の獨協」と呼ばれていることからもわかるように、英語の成績も重視している。しかし共通テストの英語の成績を求めている理由は、それだけではない。
「夕方スタートとはいえ、1日に何度も試験を受けるのは受験生にとって負担になるでしょう。そのため当日の受験科目は選択科目のひとつだけに絞りました。代わりに共通テストの「英語(リスニングを含む)」の成績でも評価を行い、受験当日の負担を軽減します。そのためイブニング入試を視野に入れている方は、共通テストの「英語(リスニングを含む)」にも注力する必要があります」
イブニング入試では、まず共通テストの「英語(リスニングを含む)」の得点で一度判定を実施。その上で当日受験した選択科目の科目別偏差値をもとに合否を判定する。偏差値を使用するのは、各科目の平均点や難易度による偏りを防ぎ、公平に評価するためだ。
受験生の負担を減らすための工夫は他にもある。イブニング入試の検定料割引だ。イブニング入試の検定料を、通常の検定料よりも安い20,000円に設定し、同日の他大学との併願をしやすくした。同日の獨協大学の「全学科統一 前期」入試と併願する場合は、10,000円だ。さらにイブニング入試は、同時に全学科の併願ができるので、プラス10,000円で2学科の追加併願、以降プラス5,000円で1学科ずつ追加併願できる仕組みとなっている。

入試は午後から。1度の受験で何度もチャンスが。獨協大学入試の特色
イブニング入試導入に合わせて、「全学科統一 前期」の開始時間を昨年度より約1時間30分繰り下げる。「全学科統一 前期」はもともと午後スタートの入試だったが、2027年度入試ではさらに余裕を持たせた開始時間になった。睡眠不足や交通網の混乱など、多くの懸念点を払拭しやすい点もメリットだ。
「多くの受験生を見ていると、午前中よりも午後のほうが体調がいい傾向があります。本学でも『全学科統一 前期』を午後開始にしてからは、当日の体調不良者がほとんどいなくなりました」
イブニング入試と「全学科統一 前期」では、複数学科(最大11学科)の併願も可能。そのため受験時点で学科を決めきれない人や、なんとしても獨協大学に入りたい人にも向いている。併願時の検定料割引が豊富なのも、獨協大学入試の特徴だ。
「多くの方が検定料割引に魅力を感じてくださっているようで、これまでも複数の学科を併願する受験生が多かったです。入試全体で見ると、ひとりあたりの併願数は約3.5でした」
2月2日の「学科別」入試に、「2科目判定型」(併願料無料)を新設
2月2日に実施する一般入試「学科別」にも魅力があると語る、指物課長。出願は1学科のみだが、合否判定のチャンスを複数回設けているそうだ。
「学科別」は英語、国語、選択科目による3科目型。しかし英語と、成績がよかった1科目の偏差値を利用して判定する「2科目判定型」を新規導入した。
「外国語学部は昨年度まで2科目入試でしたが、2027年度からは他学部に合わせて3科目型に統一しました。しかし急に1科目増えてしまうと、負担になる受験生もいるでしょう。そこで『2科目判定型』を新たに導入し、受験生に過度な不安を与えないよう試みています」
従来からの入試形式である「外検+(プラス)」も継続する。所定の外部検定試験の出願資格基準スコアを満たしていれば併願できる制度だ。スコアの点数化はしない。「外検+(プラス)」の場合、英語以外の科目で合否判定を行う。こちらも併願は無料だ。
「つまり2月2日の『学科別』は、1度の受験で最大3回の合否判定が可能です。2月1日の入試を受けた方が翌日に『学科別』を受けることも可能なので、2日間で1学科につき最大5回のチャンスがあるといえます」
なぜ獨協大学では、これほど受験機会の創出に力を入れることになったのだろう。その背景には、受験生の声に真摯に耳を傾けてきた大学側の姿勢が垣間見えた。
「入試をやるたびに、より受験をしやすくするためにはどうすればいいのかが見えてきます。また、受験生からの声も大切にしてきました。日々受験生から問い合わせメールなどをいただくので、こちらが気づかされる部分も多いです。入試を改善し、検証した結果を翌年に反映する、という循環は今後も続けていきます。高校の先生からもお声をいただくことがあれば、できるだけ反映させたいです」
各大学が特色ある入試を行っているため、一見すると大学独自の入試制度は複雑に思えるだろう。しかし要項をよく読むと、受験しやすくするための工夫も詰まっている。自分に合った入試形式を探してみると、志望校合格という目標に一歩近づくかもしれない。
「2月1日にもう1大学受けてみたい、1科目だけなら受けてみてもいい、獨協大学に入るチャンスを増やしてみよう、などの想いを抱いていたら、ぜひイブニング入試を活用してください。おそらく全国的に見てもまだ珍しい方式ですので、受験のチャンスを広げていただけたらと思います」

獨協大学 入試部入試課長
指物敏一(さしもの・としかず)
大手予備校、受験媒体を扱う広告代理店を経て、2006年獨協大学入職。2019年より現職。
◆獨協大学について
1964(昭和39)年、第3次吉田内閣の文部大臣も務めた天野貞祐(あまの・ていゆう)博士を初代学長に獨協大学を設立。学生数8,421人(2026年5月1日現在)。外国語学部、国際教養学部、経済学部、法学部の4学部11学科、大学院、 4つの研究所を備えた私立大学。 所在地は埼玉県草加市。
建学の理念は「大学は学問を通じての人間形成の場である」。
ドイツ教養主義精神を原点に、前身である獨逸学協会学校から数え130年以上もの実績を誇る外国語教育と教養教育、ゼミナール教育を重視している。
ゼミナール教育は学生と教員また卒業生との絆を生み出し、全ての学部、学科の学生が同じキャンパスで学ぶ「オールインキャンパス」と相まって独特のフレンドリーな雰囲気を醸成している。

