東京大学分子細胞生物学研究所附属高難度蛋白質立体構造解析センターの豊島近教授は、生体膜を構成しているリン脂質と膜タンパク質の相互作用の挙動を世界で初めて可視化した。この成果は、2017年5月11日米国科学誌「Nature」に掲載された。

 私たちの身体の細胞は、生体膜(リン脂質二重層)に仕切られている。生体膜には、カルシウムポンプなどの膜タンパク質が埋め込まれており、細胞外の情報をキャッチし、細胞内へ伝達している。薬の大半は、膜タンパク質をターゲットとしていることから、膜タンパク質の立体構造解析や構造変化に対する知見の集積は、創薬分野において非常に重要な課題である。X戦結晶構造解析技術と設備の進歩により、難しいといわれていた膜タンパク質の構造決定も数多くされるようになってきたが、膜タンパク質を取り巻く生体膜が、どのように膜タンパク質の構造変化や機能発現に影響を与えるかは不明であった。

 そこで、豊島センター長らは、「X線溶媒コントラスト変調法」という手法を開発し、膜タンパク質とそれを取り巻く生体膜の解像に成功し、両者の密接な連携を明らかにした。これらの知見は、今後、他の膜タンパク質の構造や機能発現の理解に大きく貢献し、創薬のブレークスルーとなることが期待される。

論文情報:【Nature】Protein-phospholipid interplay revealed with crystals of a calcium pump

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