株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソースは、2026年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生を対象に「就職先人気企業ランキング調査」を実施し、就職・採用戦線プレシーズンの2026卒就活前半戦(2024年夏)ランキングを公表した。有効回答3,773名。
改正された「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(3省合意)により、一定の基準を満たしたインターンシップで得た学生情報を、企業が広報活動や採用選考活動に使用できるようになった。これを受けて採用早期の主戦場となるインターンシップマーケットは活況を呈している。売り手市場下で企業と学生の接触時期が早まる中、人気を集めた企業はどこか。
1978年の調査開始以来48年度目となる今回の調査では、続く売り手市場下で、初任給引き上げをはじめ若手社員の処遇改善や人事制度の見直しに取り組む企業が増加。文理男女ともに「好業績」、「働きやすさ」、そしてインターンシップ類等で積極的に学生との接点を提供した業界トップ企業に人気が集中する結果となった。
文系男子ランキングでは、伊藤忠商事が6年連続で1位となったほか、三井物産(2位)、三菱商事(3位)、丸紅(4位)、住友商事(5位)と総合商社がトップ5を独占。総合商社は、事業領域の広さや世界を舞台に活躍する商社パーソンのイメージから、文系男子学生の憧れも引き続き根強く、絶対的な人気を誇ってきた。資源バブルは一服したものの、好調な事業投資や円安を背景に、今期も総合商社の業績は高水準で推移している。大手金融機関は、長年据え置いていた初任給の大幅な引き上げを発表。3メガバンクの初任給はそろって25万円以上になったほか、基本給を底上げするベースアップなど若手社員の待遇改善が進んでいる。三菱UFJ銀行(6位)、大和証券グループ(7位)、三菱UFJ信託銀行(8位)、日本生命保険(9位)、三井住友海上火災保険(10位)とトップ10に5社ランクインした。
理系男子ランキングでは、伊藤忠商事が3年連続で1位となったほか、丸紅(2位)、住友商事(3位)、三菱商事(4位)、三井物産(5位)と文系男子同様総合商社がトップ5を独占。新型コロナ禍後の出社回帰によるオフィスビル事業、インバウンドの増加を受け、ホテルや商業施設なども堅調で好業績を維持する不動産デベロッパーは、森ビル(6位)、三井不動産(9位)と2社がトップ10に入った。デベロッパー各社はDX(デジタルトランスフォーメーション)を経営戦略の要に位置付け、新たなデジタル技術やデータを活用したサービスの変革を進めていることも学生に浸透しつつあり、建築系や都市工学専攻学生に限らず理系学生の人気を集めている。デジタル投資の拡大を背景に業績が好調なIT・情報系大手も引き続き学生の人気が高く、Sky(7位)、野村総合研究所(10位)とトップ10に2社入った。このほかコンサルティング大手のアビームコンサルティング(8位)がトップ10入りした。
文系女子ランキングでは、伊藤忠商事が3年連続1位、文・理系男子、文系女子の3冠を達成したほか、丸紅(2位)、三井物産(3位)、住友商事(4位)、三菱商事(5位)と、総合商社が文系女子でもトップ5を独占し、人気の高さが際立っている。文系女子は女性が安心して長く働ける制度や環境が整っていることや、実際に活用できるのかを重視する傾向がある。大手金融機関は伝統的に女性の採用数が多く、ライフステージの変化に応じて仕事と私生活を両立させやすい制度や、制度を活用しながらキャリアを形成して活躍するロールモデルも豊富。7位の三菱UFJ銀行をはじめ、大和証券グループ(8位)、三井住友海上火災保険(9位)、三菱UFJ信託銀行(10位)とトップ10に4社入った。このほか、不動産デベロッパーは森ビル(6位)がトップ10入りした。
理系女子ランキングでは初の1位となった丸紅をはじめ、伊藤忠商事(3位)、住友商事(4位)と総合商社が3社トップ10に名を連ねた。デベロッパー人気も顕著で、2位の森ビルをはじめ、三菱地所(5位)、NTT都市開発(6位)、三井不動産(7位)、東急不動産(8位)とトップ10に5社入った。このほか女性活躍推進に四半世紀以上の歴史を持ち課長層で36%、部長層で27%の女性管理職比率を誇るベネッセコーポレーション(9位)、アビームコンサルティング(10位)がトップ10入りした。