2025年9月27日(土)から、実践女子大学 香雪記念資料館は「女性日本画家たちの戦中・戦後 木下春、小畠鼎子、谷口富美枝、藤田妙子」を開催する。

 今回取り上げる木下春(1892-1973)、小畠鼎子(1898-1964)、谷口富美枝(1910-2001)、藤田妙子(1916-2001)の4人の間に直接の関係はほとんど無く、年齢も木下、小畠と谷口、藤田とでは10年以上離れている。木下は前田青邨に師事し、再興日本美術院展に戦後まで出品を続けた。小畠と谷口は川端龍子に師事し、龍子が院展を去って1929(昭和4)年に青龍社を立ち上げると、小畠は35年間休まず青龍展に出品を続けた。藤田は、青龍社を除名された福田豊四郎が吉岡堅二と1938(昭和13)年に立ち上げた団体、新美術人協会に出品した。昭和期に入り、日本画表現の革新が次々と求められていたが、4人もその渦中で探求を続けていた。

 木下の《覚山尼》、小畠の《突進》の緊迫感、藤田作品の圧倒するような存在感からは、戦時下で描くことの厳しさが伝わり、青龍社を離れた谷口の復古的な小品や能への傾倒からは、戦時体制の中で保とうとした個人の思いが伝わる。木下や谷口の展覧会出品作の多くは所在不明で、戦後幼児教育に転じた藤田は作品自体が少なく、今回の展示では4人の画業のほんの一部しか示すことができないが、小畠を除けばほとんどの作品が都内初公開となる。

 11月8日(土)には、関連イベントとして、呉高等学校主査(学芸員)角田知扶氏による「谷口富美枝(仙花)その画業と人生」、大田区立龍子記念館副館長の木村拓也氏による「青龍社の女性画家たち 小畠鼎子を中心に」、2つの講演が行われる。

<女性日本画家たちの戦中・戦後 木下春、小畠鼎子、谷口富美枝、藤田妙子>
会期 :2025年9月27日(土)~11月22日(土)※9月28日(日)を除く日曜日は休館
開館時間:10:30~17:00
会場:実践女子大学香雪記念資料館 企画展示室1・2
入館料:無料

<講演会>
日時:2025年11月8日(土)13:00開場、13:30~17:00(予定) 
会場:実践女子大学 渋谷キャンパス(創立120周年記念館) 8階805教室
プログラム:
「谷口富美枝(仙花)その画業と人生」角田知扶氏[呉高等学校 主査(学芸員)]
「青龍社の女性画家たち 小畠鼎子を中心に」木村拓也氏[大田区立龍子記念館 副館長]

参考:【実践女子大学 香雪記念資料館】女性日本画家たちの戦中・戦後 木下春、小畠鼎子、谷口富美枝、藤田妙子

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