上智大学の中許 眞氏と深澤 佑介准教授は、秋田県でのクマの出没を予測するモデルを開発。出没記録、日時、土地被覆、人口分布、気象、道路の有無、標高、食料となるブナの実の豊凶情報など、多様な要因を統合した予測モデルという。
近年、クマの市街地出没による人身事故は全国的に増加し、秋田県でもクマの出没は年間平均800件から3900件以上に急増(2023年)。クマの食料であるブナの実の凶作、中山間地域での過疎化・耕作放棄地の拡大などが影響していると考えられる。出没リスクを事前に予測し、住民への警告や適切な対応策の実施が求められている。
今回の研究では、出没時の周辺状況を考慮するために、周辺環境の人口構造物や植生情報を含む土地被覆データ、出没時やその前日の天気概況、温度、湿度、降水量を含む気象データ、標高データ、クマの食料となるブナの実の豊凶情報を活用した。さらに、人間活動が出没や目撃報告の有無に影響することを考慮して、年齢別の人口分布データや道路情報を組み込んだ。
予測モデルは、秋田県全域における日別かつ1kmメッシュでの出没有無を目的変数とした。ExtraTreesモデルを用いた予測では、正答率63.7%、適合率63.5%、再現率63.6%の高精度予測を達成した。
また、予測モデルの重要特徴量分析により、過去の周辺の出没状況、土地被覆(人口構造物、水田、竹林など)、人口分布(特に高齢者数)、標高が主要な予測因子と分かった。また、未知の場所での安定した予測性能を確認し、予測モデルの地域一般化能力も示した。
今回の成果により、クマの出没リスクが高い地域を事前に把握し、警戒情報や対応策の効率的な配信に役立つとしている。
