芝浦工業大学の桑原央明准教授と塚瀬翔太氏(修士課程)は、運転者の運転意図をリアルタイムに推定し、必要な場合にのみ車体の安定化制御を行う「運転者意図認識型・状況適応安定化制御システム」を開発した。
自動車分野では、自動運転や高度運転支援システム(ADAS)の実用化が進んでいるが、自転車や電動バイクなどの二輪車には、車体を傾けながら旋回するという特有の運動特性があるため、運転者の意図と転倒リスクの区別が難しいという課題があった。
そこで研究グループは、ハンドルと前輪を機械的に切り離し、電気信号によって操舵を行う「Steer-by-Wire(SBW)」技術を搭載した実験用電動バイクを開発。SBWにより、運転者がハンドルに加える力と、タイヤが路面から受ける反作用力を分離して抽出し、運転者の意図と車体の状態をより正確に推定できる。
さらに、車速、操舵角、車体の傾き、路面反力などの情報を機械学習に入力し、深層学習モデル(LSTM)で走行状況を「直進」「旋回」「不安定状態」の3つに分類。システムが「不安定状態」と判断した場合のみ、車体姿勢を回復させる安定化制御を作動。「旋回」判断では制御を介入させず、運転者本来の操縦を尊重する。実験では、カーブ走行時と転倒につながる不安定状態を高精度で識別し、適切なタイミングでのみ姿勢制御を行えることを実証した。
これにより「曲がろうとしているのに制御が邪魔をする」といった不要な介入を防ぎながら安全性を向上できる。今後は、多様な走行環境への対応や路面状況推定技術の高度化を進め、高齢者向け転倒防止自転車、電動アシスト自転車、配送用二輪モビリティ、自律移動ロボットなどへの応用を目指すとしている。
