芝浦工業大学(東京都江東区)⼯学部の新熊亮⼀教授(社会情報ネットワークデザイン研究室)と廣瀬敏也教授(ヒューマンマシンシステム研究室)は、将来的なマイクロモビリティの⾃動運転を⾒据え、JRさいたま新都心駅とJR北与野駅を結ぶ歩行者デッキで自動運転シニアカーの走行実証実験を始めた。さいたま市の協力を受けて実施しているもので、1月30日まで続けてインフラ型自動走行技術を検証する。

 さいたま市では「だれもが移動しやすく⼈にも環境にもやさしいウォーカブルな都市空間」の構築を掲げている。このスマートシティ推進の⼀環として、芝浦工業大学が高齢者の「移動の足」となるシニアカーについて、インフラ型自動走行技術を使った実証実験を行っている。

 インフラ型自動走行技術とは、車両に備えたセンサーに依存せず、信号やカメラなど道路に備わったインフラから取得した情報をもとにAI(人工知能)が車両に安全な走行指令を出すという技術で、従来の車両自律型と違い、街全体が運転を支援するというもの。レベル4(※1)以上のより安全で高精度な自動運転に向け、世界各国で実験が進められている。

 今回の実証実験は株式会社ハイパーデジタルツインが技術提供するインフラ型自動走行技術を使い、シニアカーの自動駐車を行う。駐停⾞場所に設置した同社のインフラが、シニアカーと周辺環境をデジタルツイン上でリアルタイムに同期して最適な駐車位置に精密に誘導する。シニアカー側の死角をインフラ側が把握して誘導することで、機体側に⾼価なセンサーを搭載せずとも、狭い公共スペースを有効活⽤した安全かつ正確な⾃動駐⾞が可能となることを立証する。

 このほか、人々が行き交う歩行者デッキ上でシニアカーを運転する際の周囲の歩行者との親和性や、車載センサーを利用した自動運転で路面状況や歩行者の動線など環境変化に対する基本性能も調査し、これをベースラインとして将来のインフラ連携による⾼度化の必要性を評価する。

 今後は次年度以降の本格導⼊に向けた技術評価を⾏い、将来的には、デジタルツイン基盤で死⾓や障害物を把握し、混雑した環境下でも安全に⾃動⾛⾏・⾃動駐⾞ができるモビリティサービスの実現を⽬指す。

※1 レベル4自動運転 特定の道路、場所など一定の条件下でシステムがすべての運転指令をこなす無人運転。日本では2023年に解禁された。

参考:【芝浦工業大学】さいたま新都心ペデストリアンデッキにて「自動運転シニアカー」の実証実験を実施~LiDARインフラとデジタルツイン技術で、だれもが快適に移動できるウォーカブルな街づくりへ~(PDF) 

芝浦工業大学

日本を支えるグローバル理工系人材を育成

2027年に創立100周年を迎える芝浦工業大学は、工学部・システム理工学部(26年4月改組予定)・デザイン工学部・建築学部の4学部2学科11課程体制。2020年度から「データサイエンス科目」を全学部で導入し、「理工系総合大学」と呼ばれるほど多種多様な研究分野を[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。