「子どもの個性をつなぐ」「教育制度をつなぐ」先生を育成する発達教育課程

 新たに設置したのが、4専修を持つ発達教育課程です。近年、教育現場では子どもの発達の多様性への対応が課題となっています。

 発達教育課程の使命の第一は、「子どもの個性をつなぐ」先生を育成することです。子どもの発達の速度は同じではありません。その違いは「遅い/早い」はではなく、「個性」ととらえられます。そして、その個性に応じた教育が今求められています。

 そこで、「特別支援教育専修」では、子どもの個性である発達の多様性を理解し、それに対応する教育力を身につけます。取り分け、児童・生徒期のみならず、幼児期に始まる発達のスパンでのそれを身につけさせます。本専修で学んだ学生は、特別支援学校に勤務して専門性を発揮することはもちろん、小学校での特別支援教育のリーダーシップを発揮することも期待しています。


 ところで、子どもの個性には「発達の速度の違い」と別に、「内気な子」「我慢できない子」などの個別性も存在します。また、親にとって、これら子どもの個性は「大きな気がかり」でもあります。そこで、「児童心理教育専修」では、カウンセリング関連科目も含む心理学を広く学び、これらの個性をもった子どもや、子どもの成長や不安を抱える親への対応力をもった教員を育成します。

 また、発達期にある子どもの教育制度も一様ではありません。そこで、発達教育課程の使命の第二は、「教育制度をつなぐ」先生を育成することです。先に述べた学校教育課程では、小学校から高等学校までの「教科の学び」を理解する先生を育てますが、これは社会要請に基づく対応でもあります。

 さて、今、発達期にある子どもの教育制度について大きな問題となっているのが幼児教育と小学校の連携です。幼稚園や保育所での幼児教育と小学校での教育小学校での教科の学び)となりますが、例えば、幼稚園は教科を横断して日常生活に直結した総合的な学びが行われ、少人数での学びが多かったものが、小学校では大きな集団での活動が求められることがあるといった違いがあり、そして、これらの変化に戸惑う子どもが増えています。

 そこで、「初等連携教育専修」を設置し、幼児教育と小学校教育とに精通し、 幼小の「教育制度をつなぐ」先生を育成します。幼稚園と小学校の教員育成に関する学習はもちろん、「初等連携カリキュラム論」「幼小接続教育内容論」といった科目を開講し、幼児教育から小学校教育への移行に際する子どもの戸惑いを減らし、「幼小の学びをつなぐ」教師力を身につけます。

 また、幼児教育には幼稚園と保育所という制度があり、それぞれに特徴を有しています。さらに、両方の機能を兼ね備えた「認定こども園」といった制度も拡がっています。これらの制度を「つなぐ」先生も必要であり、従来からの「幼児心理教育専修」も設置しています。もっとも、幼稚園教諭と保育士資格を取れる大学は珍しくありません。ただ、発達教育課程の幼稚園教員養成の学びでは、その制度から、小学校教育との連携を理解することになります。また、心理学をも学び、「保護者の子育て支援」にも対応できる幼児教育者を育成します。ここに特長と意義があります。

 

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大学ジャーナルオンライン編集部

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