専門性を伸ばす基礎教育と専門教育の連関、学校体験との往還

 専門性の習得や向上には、その基礎となる力が必要です。そこで、基礎教育も工夫し、特に、1年次の「基礎演習」、2年次の「教育課題演習」という積み上げで、「『より良い』を目指し、課題発見し、課題解決をする力」、すなわち探求力を習得させます。「基礎演習」では、その基盤となる「文章を読み解く力」「多角的な物の見方」「論理的な思考力」などを培います。「教育課題演習」では、教育課題に関する研究テーマを設定し、課題発見と課題解決を論考します。

 一連の学習では、「問いを立てる」こと、すなわち「仮説を立てる」思考の定着を大切にします。これは、後の専門教育において、「より良い教育について考える」際の基盤となります。例えば、「良い授業をつくるには、どうしたらいいか」ではなく、「良い授業とは、子どもに○○を体験させることである」と仮説を立てた上で立証する。こうした論理的思考を身につけさせるのです。

 さらに、学校体験を通じた学びも大切にしています。まず、大学の学習で得た知識を教育実践力に昇華させることになります。また、大学の授業では知り得ない現状を知る機会となります。何よりも、知識の学習と現場の体験とを相互に反映させるスパイラルこそが、「どういう先生になりたいのか」という将来目標を創り、「先生となって何をしたいのか」というビジョンを明確にしていきます。

 このキャリア感の醸成プログラムとして、2年次に行う「『先生の助手』体験」があります。一週間、先生の助手として、お仕事をお手伝いさせていただきながら、「先生」という仕事の大変さ、ひいては社会使命を学んできます。

市教委のご協力をいただき、指導主事の先生から事前指導を受け、この体験で「何を学ぶのか」「何を見るのか」という明確な視点を持って臨ませるようにしています。

 この「『先生の助手』体験」は、13年続くプログラムで、本学の教員育成の特色にもなっています。その他、さまざまな学校体験プログラムを用意し、「先生」という仕事に対する使命感を醸成しています。さらに、「教育フィールド研究」という科目を設置し、学校体験と大学での学習を有機的に往還できるようにしています。その結果として、高い専門性の育成となっています。

 

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
文教大学

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。