2026年7月12日(日)、青山学院大学相模原キャンパスにて、女子中高生を対象とした理工学部研究室ツアー「Girls Meet STEM 理系の魅力を大発見!青山学院大学理工学部研究室の扉を開こう! ~リアルを感じる!みつけようあなたの未来!~」が開催されました。本イベントは今年で4年目を迎え、理工系分野に興味を持つ女子中高生に向けて、大学での学びや研究の魅力を体感してもらうことを目的としています。
近年、日本でも理工系学部に進学する女性は増加傾向にありますが、国際的に見るとまだ低い水準にとどまっています。こうした状況を踏まえ、青山学院大学理工学部では、女子学生がどのような理由で理工系を選び、どのような学びを得ているのかを、等身大の言葉で伝える機会を、公益財団法人山田進太郎D&I財団とともにつくっています。
本コラムでは、当日のパネルディスカッションの様子や、参加した学生たちへのインタビューを通して、理工系の魅力と彼女たちの想いをお届けします。
女子中高生・保護者を含めて約100名参加のイベント
このイベントは公益財団法人山田進太郎D&I財団が、STEM分野※のジェンダーギャップ解消をめざして立ち上げたプログラム「Girls Meet STEM」に賛同する青山学院大学のイベントだ。現在「Girls Meet STEM」には、全国36大学の理工学系学部が参画しており、中高生女子がSTEM(科学・技術・工学・数学)分野で働く人や学生、現場に触れることで、自分がやりたいことや関心のあることを見つける機会を提供し、理工系女子を増やしていこうという取り組みだ。当日は、オープンキャンパスも行われており、相模原キャンパスは大勢の人々で賑わっていた。
イベントには生徒・保護者を含め、100名ほどが参加。最初のパネルディスカッションでは、青山学院大学Girls Meet STEMのアンバサダーである、理工学部で学ぶ大学生・大学院生の20名の女子学生が自身の進路選択を振り返り、それぞれの体験を話した。
※STEM分野・・・「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Mathematics(数学)」の頭文字をとった4つの教育分野の総称

まわりの友達が文系ばかりで、理工系を選択しづらかったけど、選んでよかった
今回のイベントでは、中高生にとってロールモデルとなる学生の等身大の姿を紹介すること、様々な話を聞いてもらうことに主眼が置かれた。
理工系への進路に迷った、または決めていたという学生は半々。それでも「具体的にやりたいことは入学してからみつけた」という声が多かった。また、「迷っていた」という学生の中には、「まわりが文系ばかりで理工系を選ぶことに躊躇した」という学生もいたが、それでも「勇気を出して自分の好きなことを選んでよかった」という声も聞かれた。最初は「やりたいことが決まっていないと入学後困るかもしれない」と思っていた学生も「進路選択の時点で、明確にやりたいことや、目的が決まっていなくても、入学してからみつけることができる」「まずは挑戦してみることが大事」「自分で自分の可能性を狭めないで欲しい」とのメッセージを参加者に送った。

理工系学部は忙しそう、ハードで難しそう・・・入学してみると違うことが分かる
学生生活においては、「理工系学部は勉強・研究が忙しそう」というイメージを持つ生徒が多い中、研究やアルバイト、サークル活動などとの両立をする学生の姿が紹介された。
青山学院大学の校風なのか、学生の多くが、もともと理工系に対して「ハードで難しそう」といったイメージをもっていたのが、青山学院大学に入って「明るい、活気がある」と感じたと話しているのが印象的だった。その他に、印象に残ったのは、学生の学会への参加だ。参加して発表するには査読などのハードルがあるものの、国内外の様々な場所へ行くことができ、青山学院大学理工学部では先んじて国際学会参加を支援する「国際学会発表支援制度」などの支援制度も整備し、学会参加費用の補助なども行っているという。学生自身は、学会発表の準備は大変としながらも、研究における一つの目標としてその経験を楽しんでいる様子も伺えた。
このイベントに参加したのも何かの「縁」。たくさんの話を聞いて、自分のロールモデルを探してほしい
理工学部で学ぶ大学生・大学院生の20名の女子学生から話を聞いたあと、数人ずつ10のグループに分かれ、それぞれ研究室を見学、女子学生が2人ずつアテンドした。キャンパスを案内しながら、受験のことや学生生活など、参加者の疑問に気さくに答えていた。
研究室ツアーでの見学はそれぞれ2つだったが、その他にも多くの研究室が公開されていて、イベント終了後は興味のある研究室を訪れることができた。
理工系を選んだ理由もさまざま、一部の学生のコメントを紹介
やりたいものがなかった私が、メイクロボットの研究で大学院まで進学
理工学研究科理工学専攻 機械創造コース 博士前期課程1年の小野川葉子さんは、メイクロボットの研究に取り組んでいる。「最初は、明確にやりたいものはなかったんですが、研究室を決める際に、研究するからには社会に通用するものにしようと思いました。理工系って、できたという瞬間を実感できるのが、わかりやすくてモチベーションに繋がるように思います」
【小野川さん】自身の研究内容(メイクアップロボット)の写真
リケジョってカッコいい。そんな感覚で選ぶのもアリ
電気電子工学科4年の齋藤結芽さんは、中高生に「悩んでいても理工系を選んで来てもいい。大丈夫だよ」と伝えたいという。「私自身は、”リケジョ”って響きがカッコいい。そんな感覚で理工系を選びましたが、入学後、自分達の研究している技術が身近なところに使われていることを知ってもっと楽しくなりました」
【齋藤さん】当日のパネルディスカッションにて
理工系進学のきっかけは理科の先生
中学生の時、担当の理科の先生の影響でスーパーカミオカンデのサマーキャンプに参加したのがきっかけという化学・生命科学科4年の柘植菜々子さん。「当時、他の参加者の生徒たちが、ニュートリノなど専門的な内容を理解しているのに衝撃を受けて、自分が井の中の蛙というか、私自身もっと勉強しなきゃと思ったのが理工系へ進んだきっかけです」と話す。将来は、研究の道を志すとともに理科教育に携わることにも興味を持っているという。
【柘植さん】学園祭実行委員会に所属。当日の様子
「恐竜」好きから、化学・生命科学の道へ
「ジュラシックパークをみて、恐竜に魅了されました」という化学・生命科学科4年の宮澤花帆さん。恐竜をきっかけに遺伝子などに興味をもち、現在は酵母の研究をしている。大学院進学にあたり、心配していたご両親を説得。「やはり私が楽しいということを理解して応援してくれています」と、研究についても楽しそうに話してくれた。
【宮澤さん】福島の特別展で、大好きな恐竜との一枚
建築希望だったが、機械創造工学科で修士まで進学
理工系にそんなに興味がなかったという理工学研究科理工学専攻 機械創造コース博士前期課程1年の今井望鈴さん。「漠然と建築学部を志望していましたが、0から実際に目に見えるものを作ることが、私的にはやりがいを感じるのかなと考えると、媒体が家なのか機械なのかという違いなだけで、機械工学も自分に合っているのかもしれないと青山学院大学を受験して入学することになりました。結局、気になるとか面白いという気持ちを軸に、その進学先で頑張れることが大事だと思います」
【今井さん】学会参加時の写真
総合型選抜「理工系女子特別入学者選抜」は9月中旬よりWeb出願登録受付
青山学院大学の化学・生命科学科の女子比率は高く、40%以上になっているが、他の電気電子工学科、機械創造工学科などはまだ10%前後で学科の雰囲気も異なるという。これまでの理工系は女子が進学しづらい分野、というイメージが残る一方で化学・生命科学科は食品、化粧品、薬品などとの関係が深く、比較的女性の感性を生かしやすい可能性がある。これらの状況に鑑みて、2026年度より青山学院大学理工学部・物理科学科、電気電子工学科、機械創造工学科、情報テクノロジー学科では、女性比率向上を目指し、女子学生を対象とした総合型選抜「理工系女子特別入学者選抜」を実施している。
今回の保護者会においては、授業料をはじめ、受験事情や大学院への進学、就職状況など保護者が気になる点についても、質問を受けるかたちで理工学部長である黄教授が回答した。理工系学部の学費は、文系学部に比べて高い傾向にあることや、大学院まで進学した場合の金銭面・年齢面の不安をできるだけに解消するため、青山学院大学では、大学院での授業料を全額・半額免除する「特別給付奨学金制度(博士前期課程:学内進学のみ)」や、先ほどもふれた国際学会参加を支援する「国際学会発表支援制度」などの支援制度が整備されている。博士後期課程では、授業料相当を支給する「若手研究者育成奨学金(30歳未満)」、博士後期課程を助手として雇用する「院生助手制度(16万5千円/月を支給)」、学内競争的研究費である「アーリーイーグル研究支援制度(研究費40万円/年)」、さらに、本学で初となる全学的な博士後期課程学生支援プログラム(AGU Future Eagle Project)では、奨励学生に対して、学術や実業などにおける新たな領域や分野を切り開く可能性を期待し、博士課程の3年間にわたって研究費、生活費の支給や育成プログラムの提供といった包括的な支援を行っている。
今回のイベントに参加して、様々な先輩の話や体験談などを聞いた中高生からは「参加して楽しかった」「もっと理工系って堅い感じかと思っていた」「自分でもいろいろと進路について調べてみようと思う」などの感想が聞かれた。
