畿央大学大学院の杉野達也氏(博士後期課程)と森岡周教授らは、慢性がん関連痛を有する入院患者の痛みを評価した結果、集団レベルでは痛みの強さが1日を通して比較的安定していることを明らかにした。
痛みは、病気や組織の状態だけで決まるものではなく、心理状態、活動量、治療、薬剤、生活環境などの影響を受ける主観的な体験だ。慢性疼痛の一部では、朝に強い、夕方から夜に強くなるなど、時間帯による変化が報告されている。しかし、入院中の慢性がん関連痛について、起床から就寝までの痛みの推移を定時に繰り返し測定した研究は限られていた。
そこで研究グループは、慢性疼痛が3か月以上持続している成人入院患者68名(慢性がん関連痛群38名と慢性非がん性疼痛群30名)を対象とした観察研究を実施。起床時から就寝時まで1日6回、3日間にわたり繰り返し評価した。
その結果、慢性がん関連痛では、集団レベルの痛みの強さは起床から就寝まで比較的安定していることが示された。一方、慢性非がん性疼痛では、起床時と就寝時に痛みが高く、午前中に低下する異なる推移がみられた。
ただし、両群は患者背景が大きく異なるため、両群間の差を直接検証したものではない。また、慢性がん関連痛群では、3日間の平均的な痛みが強いことと、罹患期間の長さ、中枢性感作に関連する症状、痛みに対する破局的思考、抑うつ症状の強さとの間に関連が認められた。
今回の研究結果は、「がん関連痛は1日の中で変化しない」ことを示すものではなく、個々の患者の痛みを、身体機能、薬剤、治療、心理面、入院環境と併せて評価する必要性を示すものとしている。
