名古屋工業大学大学院工学研究科の平田晃正教授と小寺紗千子准教授、植田晴大・松浦竜也大学院生、海洋研究開発機構の研究グループが、2040年の三大都市圏熱中症搬送者数を予測したところ、2010年の約2倍に達することが分かった。三大都市圏は人口は横ばいかやや減少だが、平均気温の上昇と高齢者の増加が影響するとみられる。

 名古屋工業大学によると、研究グループは地球温暖化の影響とみられる気温上昇と高齢者人口の増加で2040年の熱中症搬送者数がどう変化するかについて、三大都市圏の中核となる東京都、大阪府、愛知県を例に取り、予測した。

 予測に必要な情報として、地球温暖化に追加の緩和措置を取らないとして地球の全球平均気温が2度上昇すると仮定、高齢者の増加を織り込んだ。その結果、2010年に比べ、約2倍の熱中症搬送者が出るとの結果を得た。

 高齢者は発汗など体温調整機能が若年者より劣り、重症化率が高くなる。2021年の全国熱中症搬送者数約4万8,000人のうち、56.3%を高齢者が占めた。気温上昇が予測以上に進めば、高齢者の搬送がさらに増え、医療がひっ迫する心配が出ている。

 研究グループは将来の熱中症搬送者数増加に備え、医療体制の整備と熱中症に対する啓発活動を進める必要があると提言している。

論文情報:【Environmental Research】Projection of future heat-related morbidity in three metropolitan prefectures of Japan based on large ensemble simulations of climate change under 2 °C global warming scenarios

大学ジャーナルオンライン編集部

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