学校法人玉川学園は、国土交通省を中心に8つの省が参画する「第8回インフラメンテナンス大賞」の文部科学省特別賞を受賞した。「教育現場とインフラメンテナンスの連携による技術力向上」というユニークな取り組みが評価されたもので、初めての応募にして大臣賞に次ぐ特別賞受賞という快挙となった。
玉川学園は、東京都町田市、神奈川県横浜市・川崎市の3市にまたがる面積61万平方メートルの緑豊かなキャンパスに幼稚部から大学院まで置かれている。その広い敷地の中には、変電所から送られる大量の電気を学内に取り込むための「特別高圧受電設備」があり、SEC株式会社の技術者7名が、24時間365日常駐して管理している。
1929年の創立以来教育理念のひとつに「労作教育」を掲げる玉川学園は、この『高圧受電設備』も教育に取り入れている。厳重な管理が必要なため実際に近づくことはできないものの、学園に通う園児・児童・生徒・学生たちが授業の一環として設備の仕組みや形の説明を受けてきた。
大学2号館の建物解体に伴い高圧受電設備の廃棄も決まったことで、2023年度に「ELF Study Hall 2015」のある建物へ移築。外からも中の構造や配置が見える開放型の高圧受電設備であることから、SEC社が社内研修に利用したり、園児・児童・生徒・学生たちが近くに寄って、実物を見ることができるようになった。そこから施設見学をする学生・子どもたちとSEC技術者との交流が生まれ、教育現場と企業が連携し技術力向上を図る取組みが始まった。
なお、実際に管理する側のSECでは、半年に1回程度、実際に単結図面を確認しながら実地研修を行っている。普段使われている現役の設備だと、実際に停電させることが出来ないため、実際に使われていた設備(研修施設)の高圧機器を操作できることはとても貴重な機会となっている。学園側も、そうした研修による技術力向上が学園のインフラの安全性維持につながるとして歓迎している。
「教育現場と企業が連携し技術力向上を図る取り組み」は、玉川学園を特色づける一つの教育として今後も続いていく。