2020年5月1日、全国大学生活協同組合連合会(大学生協)は全国の大学生、大学院生を対象に実施した「緊急!大学生・院生アンケート」の結果速報を公開した。

 調査は新型コロナウイルスの影響で大学生の生活も大きく変容する中、今後の大学生活のありようや大学生協として取り組むべきテーマを具体化するために実施した。各大学生協やその利用者に呼びかけてWebアンケートを行い、4月20~30日の期間に大学生から3万5542の回答を得た。

 まず経済面では、アルバイト収入が「大きく減少する・減少する」と約40%の学生が回答。60%以上の学生が「非常に不安である・不安である」と回答した。
自由記入欄には経済的不安が多く寄せられ、「学費を支払えないかもしれないので、休学もしくは中途退学を考えている」「(国から支給される)10万円を教科書代に充てる予定」「上京しスタート時点からアルバイトが無い状況の為、予定していた仕送りだけでは生活できない」といった声が集まった。また「今は自宅で過ごしており、下宿先では全く生活していませんが、家賃や共益費等は支払わなければならず、学費も全額、支払う必要がある。収入がない中でこれらのお金を工面できるかどうか、とても不安です」(国立大学2年生)という学生もいる。

 授業あるいは対面授業が無い中、学費の減免や返還を求める声も上がっている。学生のコメントからは「授業の質は明らかに低下しているし、未だに授業の形態について一切知らされていない科目もある。また、レジュメを各自印刷し自学自習を行い、レポートを提出する、もはや授業とはいえない科目もある。これらに対して全額を支払うのはどう考えてもおかしい」(私立大学3年生)など、大学側が減免に応じない理由のひとつに挙げる「授業の質の担保」が徹底されていない状況がうかがえる。

 将来や進路に対しては、約40%が「さらに不安を感じるようになった」、約25%が「不安を感じるようになった」と回答。就職活動や実習、国家試験への準備の遅れが、初めての就職で不安を感じる大学生に追い打ちをかけている。ある私立大学4年生は「卒業論文を書くために履修するゼミがWEB授業になるのかどうなるのか分からず、不安しかない。会社説明会を中止したほとんどの会社から追加の連絡がこず、ただでさえ不安な就職活動がさらに不安になった」とアンケートに寄せている。

 また、大学の新しい友達の人数を聞いたところ、7669名が「0人」、6990名が「5人未満」」と回答しており、情報交換したり相談しあうようなリアルな繋がりが作りにくい様子が伝わってくる。部活・サークル等でも、新入部員の獲得について「全く入っていない」「苦労している」と1万2529 名が回答している。「大学の友達が全くおらず、実家も遠いので相談相手が全くいない。大学の先生からもあまり援助がないので単位がちゃんと取れるかが心配」(国立大学1年生)など、一人暮らしを始めたばかりの1年生は特に大きなストレスにさらされている。

 こうした不安を抱えている学生らが「今後の大学の授業に期待するもの」について聞いたところ、約30%が「今後も対面授業を続けてほしい」と回答。また、約20%が「学年歴の開始を秋から」、約10%を超える学生が「学年歴の開始を1年先延ばし」と答えた。「全学年を1年休学にしてもらいたい」「授業を1年先延ばしで、今年分の授業料をなしにしてほしい」「秋学期スタートにして、ほかの国との足並みを揃える絶好の機会だと思う」といったコメントが並んでいる。

参考:【全国大学生活協同組合連合会】新型コロナウィルス感染症(COVID-19)防止対策#コロナに負けない 「緊急!大学生・院生向けアンケート」大学生回答速報

大学ジャーナルオンライン編集部

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