東京大学物性研究所 技術専門職員の浜根大輔氏は、鉱物研究家の井上真治氏らとの共同研究により、愛知県田口鉱山で新鉱物・堀石[Horiite(ホリアイト)]を発見。堀石は国際鉱物学連合(IMA)新鉱物・命名・分類委員会により新種(新鉱物)として正式承認された。
発見の契機は2024年11月、鉱物研究家の井上氏が浜根技術専門職員に鉱物の同定を依頼したことだった。これにより、山口大学の永嶌真理子 若手先進教授、兵庫県立大学の森祐紀 助教と鉱物研究家らを加えた共同研究チームが発足。既知鉱物のヘイトマン石に似ていたが、堀秀道博士は生前、「ヘイトマン石とは異なる未知の鉱物である可能性」を井上氏へ指摘していた。電子顕微鏡観察など多角的な鉱物学的検討により新種と判明。堀博士にちなみ堀石と命名された。
堀石は、理想化学組成「Ba2Mn2Mn4Ti2(Si2O7)2(PO4)2O2(OH)2」で表され、マンガン(Mn)を中心とする八面体が三角格子状に配列して二次元的なシートを形成し、その間に別の構造ブロックが挟み込まれた層状構造が特徴。部分的にはセイドゼライト石超族に該当する特徴を持つが、全体としては既知の鉱物や合成物質では未確認の新構造だった。
日本の鉱物学の発展と普及に尽力した堀博士(1934-2019)は5種の新鉱物発見に携わり、東北大学から理学博士号を授与され、日本鉱物科学会の名誉会員にも選出された。今回、鉱物の同定を依頼した井上氏は、堀博士が設立した鉱物科学研究所(現ホリミネラロジー)で長年活動してきた門下生の一人。命名には、未知鉱物の存在を見抜いた堀博士の先見性への敬意と、長年の指導への感謝の思いが込められているという。
今回の発見は、結晶構造が持つ多様性に新たな実例を加えるもので、鉱物学や結晶化学の発展に寄与する成果としている。

