麻布大学は、アニコム パフェ株式会社、アニコム先進医療研究所株式会社、アニコム損害保険株式会社との共同研究を通じて、ペット保険データ・遺伝子検査データの解析により、多発性嚢胞腎遺伝子変異を有するネコの割合が全体で4割強減少していることを確認した。
多発性嚢胞腎(PKD)は、腎臓に多数の嚢胞が形成されるネコの代表的な遺伝性腎疾患で、進行すると腎機能の低下や腎不全につながることがある。近年、医療機関を介さない消費者向け遺伝子検査が普及しているが、ネコPKDに関する報告は、大学病院などの二次診療施設を受診した個体を対象とするものが多く、一般的な飼育集団での発生状況や遺伝子変異の頻度には不明な点が残されていた。
研究グループは今回、アニコム損保のペット保険請求データを用いて、14猫種における嚢胞性腎疾患の発生状況を調べた。その結果、子猫への本格的な遺伝子検査が普及する前後を比較したところ、PKD1遺伝子変異を有するネコの割合が14猫種全体で42.6%減少していることが確認された。
また、スコティッシュ・フォールド、ペルシャ、ラガマフィンでは、同変異を有するネコの割合が有意に減少していた。一方、近親交配の程度に明確な増加は認められず、遺伝的多様性に配慮した繁殖管理が行われていた可能性が示された。
今回の研究成果は、遺伝子検査の普及がネコの遺伝性疾患リスクの低減に有用であることを示唆している。一方で、ブリティッシュ・ショートヘア、ミヌエット、マンチカンなど、一部の品種ではPKD1遺伝子変異の減少は確認されなかった。今後は、こうした品種でも遺伝子検査の活用を進め、適切な繁殖管理のあり方を検討していくことが重要としている。
