神戸大学バイオシグナル総合研究センターの乾秀之准教授らの研究グループは、PFAS(ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物)で汚染された河川から採取した細菌が、PFASを除去する能力を持つことを明らかにした。
PFASは多くの工業製品に利用される化学物質である一方、非常に分解されにくいことから、「永遠の化学物質(Forever Chemicals)」と呼ばれている。環境中に放出されたPFASは長期間残留し続けるため、効率的な除去技術の開発が世界的な課題となっている。
現在実用化されている活性炭吸着やイオン交換樹脂などによる物理化学的なPFAS処理法はコストが高い。そこで本研究では、微生物や植物など生物の働きを利用して環境中の汚染物質を除去・浄化する「バイオレメディエーション」に着目した。PFASで汚染された環境に適応した細菌であれば、新たなPFAS除去技術に活用できる可能性があると考えた。
研究グループは、PFAS存在下でも生育できる7種類の細菌をPFAS汚染河川の底質から単離した。これらのPFAS除去能力を評価したところ、代表的なPFASであるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)を最大17.8%、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)を最大14.1%低減できることが確認された。
また、実際の産業廃棄物最終処分場から採取した浸出水でも、複数のPFAS濃度を低減できることが確認され、実環境でのPFAS除去への応用可能性が示された。特に、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)は最大97%という非常に高い除去率を示した。
さらに、PFASの除去には分解だけでなく、細菌へのPFASの吸着も重要な役割を果たすことが明らかになった。細菌が分泌する細胞外高分子がその吸着に関与しており、特にPFOSはPFOAよりも細菌細胞に強く吸着することがわかった。
本研究成果は、低コストで環境負荷の小さいPFAS浄化技術の実現に向けた重要な知見となる。将来的には、実際の浄水施設や廃棄物処分場で利用可能なバイオレメディエーション技術として社会実装を目指すとしている。
