2026年8月1日から8月5日まで、成蹊大学理工学部にて「成蹊大学 and マサチューセッツ工科大学(MIT)Global Women’s Technology Program」が開催された。中学3年生から高校2年生までの30名が、理工系の学びに触れた5日間。本稿ではプログラム参加者や教員の声を交えながら、最終制作の様子を紹介する。

 

中学3年生も初参加!WTP Globalの開催意図

 「成蹊大学 and マサチューセッツ工科大学(MIT)Global Women’s Technology Program」(WTP Global)は、マサチューセッツ工科大学で行われている女子高校生向けプログラム「MIT-WTP」を日本向けにアレンジしたもの。成蹊大学理工学部の教員とMIT-WTPの講師が協働で授業を行い、教材もMITと同じ内容を使用する。参加した中高生たちは英語と日本語を使いながら、機械工学や電気工学などの実験・実習に取り組んだ。成蹊大学理工学部の大学生・大学院生のサポーターが学びを支えるため、語学力や理系知識に自信がなくても問題なく参加できる。

 2回目の開催となる2026年度は、昨年度から授業内容をさらにブラッシュアップしたほか、中学3年生の参加も受け入れた。成蹊大学理工学部理工学科の岩本宏之教授は「昨年度の様子から対象年齢の引き下げを判断した」と述べる。WTP Globalでは大学で扱う分野も簡略化して教えるためどの学年にとっても初見の内容が含まれ、中学3年生が参加しても高校生と大きな差は出ないだろうと感じていた。

「より幅広い女子生徒に理工系に触れる機会を増やしたいという想いもあり、対象の学年を広げました。もちろん体験してみて自分には理工系は無理だと思ったら別の道を選んでもかまいません。それでもまずは、理工系との接点を作ることが大切だと考えています。また、WTP Globalを通して、成蹊大学が女性の理工系人材の教育にも力を入れているという点を知っていただき、進路選びに安心感を持ってもらえると嬉しいです」(岩本教授)

プログラムの集大成!クレーン製作&競技会

 プログラム最終日の8月5日には、発泡スチロールを使ってミニチュアクレーンを作成する「最終製作」が行われた。クレーンを最小限の質量にし、なるべく多くの重りを吊り下げることが目標だ。生徒たちは5つの班に分かれて製作を開始。5日間で学んだ内容を発揮しながら、約2時間でクレーンを作り上げた。

 製作後は、班対抗のクレーン競技会を実施。重りの吊り下げに成功するたびに、会場からは喜びと驚きの声が上がった。

 優勝チームには、学生サポーターが賞品を授与。優勝チームのメンバーは「ラスト10分でクレーンを土台に貼り付けたので、よく見るとあまり丁寧ではない箇所がある」と反省をしつつも、奮闘したミニチュアクレーンに賛辞を送った。

「迷っていたら理工系に進んでほしい」WTP Globalの体験が自信につながる

 競技会後に行われた閉会式では、MIT-WTPの講師が生徒一人ひとりに修了証を手渡した。

 参加した中高生は5日間での変化や成長をどう実感していたのだろうか。中学3年生のノジさんと、高校2年生のタカツキさんに感想を伺った。

「中学生なので最初のうちは学力面で不安を抱えていましたが、丁寧に教えてもらい、質問にもたくさん答えていただけたので安心して学べたと思います。理系の学びにしっかり取り組んだことで、この分野が本当に好きになりました。今後の自分に役立つ内容ばかりで、参加してよかったです」(ノジさん)

「私は高校で理系に進みましたが、生物を中心に学んでいるので物理にはあまり縁がなく、苦手意識を感じていました。それでも物理への興味はありましたし、MITの学びが体験できるという点が魅力的だったので参加しました。今回は実際に手を動かしながら学べたので、物理と実生活との関わりを知ることができて、苦手意識が和らいだ気がします」(タカツキさん)

 閉会式の最後、成蹊学園学園長の江川雅子氏は「迷っている人はぜひ理工系に自信を持って進んでほしい」と生徒たちにメッセージを送った。日本では機械工学などの理工系分野に進む女性がまだまだ少ない。そこには「理工系は女性の進路ではない」という見られ方があると課題を述べた。しかし世界を見ると女性の理工系研究者や技術者は多く、MITでは学生の約半分が女性だ。だからこそWTP Globalに参加した生徒たちも、理工系に関心があればその道をあきらめる必要はないのだと背中を押した。

 理工系を志す女子生徒や理工系分野で活躍する女性を増やしたいという思いは、WTP Globalを支えた教員や学生サポーターも同様だ。

「大学は機材もある程度そろっているので、理系の研究にいちばん自由に取り組める場所だと思います。自分の努力次第でいくらでも研究ができるので、大学選びのタイミングをチャンスにしてみてください」(学部4年・キドさん)

「苦手意識がなければ、一度は理系を体験してほしいです。やってみて自分に合わなければ、文系に進み直すことも不可能ではありません。理系は学べる分野や職業の幅が広いので、将来の可能性が広がると思います」(修士1年・サトウさん)

「さまざまな視点がミックスされることで、より良いものを作れるのは間違いありません。だからこそ、女性にも理工系に来てもらいたいです。何も知らずに進路を決めるのはもったいないので、理系選択を考えたことがない生徒さんにもぜひWTP Globalに来てほしいと考えています。理工系の魅力や楽しさをもっと多くの女子生徒に知ってほしいですね」(岩本教授)

2025年度の「成蹊大学 and マサチューセッツ工科大学(MIT)Global Women’s Technology Program」開催レポートはこちら
https://univ-journal.jp/column/2025991155/

 

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