東京大学の柴田龍弘教授と大阪大学大学院の谷内田真一教授らの研究グループは、日本人の大腸がんの約半数で、「コリバクチン」という毒素を作る特殊な大腸菌がその発症に関与していることを発見した。特に若年発症大腸がんではその頻度は約70%に達していた。
2025年、柴田龍弘教授らは大腸がんの大陸横断的な国際共同研究で、コリバクチンによって生じたと考えられる特徴的なDNA損傷パターン(変異シグネチャー)を明らかにしたが、日本の症例数が限られていた。そこで研究グループは今回、大腸がん患者200例を対象に大規模全ゲノム解析を実施した。
その結果、特殊な大腸菌が産生する毒素コリバクチンによってDNAが傷つけられた特徴的な「瘢痕」(変異シグネチャー)を確認し、日本人大腸がん発症の約半数(44.8%)におけるコリバクチンの関与を明らかにした。
また、コリバクチン関連変異は大腸がんの発生・進展に関係するドライバー遺伝子や、大腸がん発生早期に異常が起こるAPC遺伝子に変異を起こしており、大腸がん発生の最初期からの関係が示された。このタイプの大腸がんでは、発がんの最初期に生じるAPC遺伝子異常が10歳未満の幼少期にすでに獲得されている可能性も示された。
さらに、40歳未満で発症した若年発症大腸がんでは、約70%にコリバクチン関連変異シグネチャーを認めたが、年齢上昇につれ割合は徐々に低下した。さらに、この変異シグネチャーは1965年以降に出生した世代で頻度が高く、近年世界的に増加している若年発症大腸がんとの関連が示唆された。
今後、コリバクチン産生大腸菌の検出や除菌、便検査による発症リスク評価など、新たな大腸がんの予防法や早期発見法の開発が期待されるとしている。

