総合型選抜の出願がすでに始まっている2027年度入試より、学校推薦型・総合型選抜のいわゆる年内入試で面接が必須化されています。ただし、これまで年内入試で面接試験を実施してこなかった大学については、移行期間があり2029年度入試から完全実施となる予定です。今の高校1年生からは長らく続いてきた面接なしの学力型年内入試がなくなることになりそうです。一方で、高大接続改革入試元年(2021年度)からは、主に国公立大学で、医学部外の学部でも一般選抜で面接を課す大学が増えました。面接試験の内容を見るとやはり事前の練習が必要と思われる大学もあるので、高校の先生方の仕事はなかなか減らないようです。

実施要綱のQ&A集で面接の方法を固定化
今年の5月29日に文部科学省から通知された「大学入学者選抜実施要綱」(以下、実施要綱)で、いわゆる年内入試では面接による評価を必ず行うこととされました。一般的には年内入試は面接試験がメインの入試方法ですので、当たり前と言えば当たり前ですが、一部の私立大学では長年にわたり、面接なしの学力型の学校推薦型選抜が実施されており、受験生側も実は重宝していました。ほとんど三方よしの状態でしたが、結局は新たな規制によって、面接なしの学力型年内入試は継続がかなり難しい状況にあります。
実はこの間、一部の私立大学は、様々な方法を検討していました。実施要綱ではオンラインによる実施も含むと書かれていましたので、オンラインを利用して多くの受験生を短時間で面接する方法を探る動きなどもありました。ただ、こうした新方式を考えて文部科学省に打診しても、当然ながらNGとなっています。真偽のほどは分かりませんが、実施要綱ではOKとなっている集団討論の形式も学力型年内入試とのセットの場合は、いずれNGになるらしいとの話も聞きました。集団面接と称して大教室で一度に多くの受験生に面接を実施したことにする方法を封じるためとも言われています。
また、以前、当コラムでも取り上げたペーパーインタビューも認められません。文部科学省が7月30日に公表した実施要綱のQ&A集の中で、AI面接やペーパーインタビューは実施要綱で言う面接ではないと書かれています。AI面接はともかく、ペーパーインタビューは実証的な研究成果に基づいて開発された方法ですので、効果的な方法だと思いますが、それすらもダメと言うのですから、面接必須化は、一部で行われている学力型年内入試を物理的に阻止したいという意図で行われていることがよく分かります。また、Q&A集では、面接の方法についても「評価者が直接行う」、「インタラクティブに応答するもの」、「複数の評価者による評価等の体制」であることも指示しています。これによって、実質的に各大学の面接試験の実施方法が固定化されることになります。

年内入試だけでなく一般選抜でも課される面接
面接は年内入試だけではなく一般選抜でも実施されています。特に医学部受験ではその対策が必須のため、医学部受験専門の予備校などでは対策講座が行われています。医学部の面接は各大学の努力で常に進化しており、ここ数年はMMI(Multiple Mini Interview)という形式が広く取り入れられています。MMIの多くは、短い複数の質問に次々と答えていくような形式で行われ、受験生の体験談を見ると、落ち着く間もなく面接が進む、せわしい様子が読み取れますが、そのための対策講座ももちろん沢山あります。ただ、予備校であればともかく、高校で行う模擬面接でMMIに対応できる高校はかなり稀ではないかと思います。
さて、国公立大学では医学部も含めて一般選抜で面接を課す大学は一定数あり、また点数化している大学も多くあります。文部科学省が公表している「令和8年度国公立大学入学者選抜の概要」を見ると、昨年2026年度入試のデータですが、国公立大学のうち137大学302学部が一般選抜で面接を課しています。全国公立大学の76.5%、全学部の47.2%が面接を課していることになります。前年と比較すると減っていますが、国公立大学のうち約半数の学部が面接を課していることになります。
このように国公立大学で面接が増えている背景には、2021年度入試での高大接続改革の影響があると思います。高大接続改革では、大学に入試で学力の3要素を問うことが求められ、そのうちの「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」と言われていた要素(当時の表記、年々言い回しが少しずつ変わります)は、入試の方法としては、小論文、志望理由書、面接などでしか測定できないため、多くの大学で面接が課されるようになりました。前述のペーパーインタビューもこの頃に開発されています。
面接ではまさに適性が問われる
面接対策は、まず前年にどんな質問をされたのかを知ることから始まります。かつては各予備校が生徒から聞き取った門外不出の実施報告集がありましたが、今ではかなり情報が得られやすくなっています。河合塾の情報サイトKei-Netの「面接試験の実施状況」では各年度別に多くの大学の面接実施状況(各大学の質問内容とそれに対するアドバイス・感想)が見られます。これを見ると事前の対策なしでは対応できない面接も実施されており、特に医学部と教育学部を見ていると、文部科学省は年内入試の必須化にあたって、きっとこういう面接のあり様を実現したかったのだろうなと思ってしまいます。
いくつかの教育学部を見ると、多くが口頭試問として短時間の模擬授業をさせているような印象を受けます。まさに適性を図るためには最適な方法だと思います(受験生は大変です)。また、教育学部に限らず、一人に与えられた回答時間の制限についての記載も目立ちます。数年前にはあまり見なかったのですが、受験生の回答が「1分を超えると止められる」とか「決まった時間で強制的に終了」になるところが増えているようです。面接には配点があり点数化されていますので、途中で止められた受験生はかなりダメージを受けるでしょう。

これらの受験生から寄せられたアドバイスや感想はとても貴重です。例えば、「試験日が例年、出雲大社のご神事に当たるのでタクシーが少なくなるから注意」などの親切なアドバイスから「あえて突っ込みやすいような回答内容にして自分の想定内の質問しかされない」ようにするというテクニックのアドバイスまで様々です。中には集団討論で良いメンバーに恵まれたことで「質の良い50分間で試験とは思えないほど楽しかった」というエピソードと「皆で合格しようという雰囲気と質の良い話し合いがすごく大事」というアドバイスなどは後に続く受験生の励みになると思います。
また、志望理由を聞かれて志望理由書に書いた内容をそのまま話したところ「そのままじゃん。脱線してみてよ」と言われて泣きそうになった話や医学部の面接で自分の病気のことを適当に説明してウソを見破られた話(相手は医者なので当たり前ですが)は、受験生には申し訳ないですが、読み物としても面白く、その時の光景が目に浮かびます。
一つひとつを読んでいくと、とても味わい深いのであっという間に時間が過ぎますが、ご関心のある方は上記の事例がどこの大学か探してみてはいかがでしょうか。ちなみに「そのままじゃん」の大学は医学部です。
【河合塾が提供する進路・大学入試情報サイトKei-Net】面接試験の実施状況
https://www.keinet.ne.jp/learning/interview/index.html