京都大学と東京都立大学の共同研究グループは、一般的なポリマー素材に微細なフォーム(泡状)構造を形成する技術を開発し、これにより世界最高レベルの白色を生成することに成功した。
白色を、特に薄く伸ばして塗布しても十分に発色するように生成するためには、全ての波長の光を均等かつ高効率に反射・散乱する性質が必要である。そのような材料は非常に限られており、かつて最も広く用いられた白色顔料である鉛白は、鉛による毒性から現在は使用が禁止されている。代わって普及した酸化チタンも、近年、遺伝毒性への懸念が指摘され、代替となる顔料の探索が求められている。
このような中、本研究グループは、汎用的なポリマーにフォーム(泡状)構造を発生させる手法を見出した。フォーム構造は高効率な光散乱能力を持ち、高精細な白色印刷が可能だという。
ディープフォームフォトリソグラフィ(DeepFoam Photolithography、DFP)と名付けたこの手法では、UV露光と現像の2つのステップで、ポリマーの切断・架橋・相分離などのプロセスが進行し、泡状の構造が形成される。この泡状構造は全ての波長の光を効率的に複数回散乱し、余分な光吸収もないため、酸化チタンと遜色のない完璧な白色を生成する。UV露光した領域のみフォーム構造が発生することから、白色を呈する領域は制御できる。高度なUV露光装置を使用することで、20,000dpiの白色印刷に成功したという。
本DFPプロセスは、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、セルロースアセテート、PMMA(アクリル樹脂)、PETなど、あらゆるタイプのポリマーに適用可能であることが確認された。
さらに、副次的な現象として、本DFPプロセスを応用すると、まるで花が咲いたようなフラワー状の構造が形成され、この表面が蓮の葉のような超撥水性を実現することも発見した。
フォーム構造・フラワー構造ともに、ポリマーのシートなどに直接印刷するほか、シートを細かく砕いてパウダー化することで、さらなる展開も見込まれる。本技術は、有毒性が懸念される金属顔料や、自然界に蓄積し「永遠の化学物質」と呼ばれる有機フッ素化合物(PFAS)を用いた撥水素材の代替となることが期待される。
論文情報:【Nature】Foaming photopolymers as a high-resolution biomimetic printing platform

