獨協大学では、2026年度入試から総合型選抜「Q(課題探究)入試」と共通テスト利用入試「国公立併願型」という二つの新たな入試制度を導入した。高校生の学び方や入試傾向などを考慮し、受験のしやすさ、分かりやすさを重視して新設された制度である。その根底には、より充実した大学生活を送ってほしいとの思いが込められている。

 

学びたい意欲を評価する。探究力を活かした「Q入試」

 獨協大学は「語学の獨協」と言われ、前身である獨逸学(どいつがく)協会学校から130年以上にわたって実践的な外国語教育を行ってきた歴史がある。また、創立以来ドイツ発祥の「ゼミナール教育」にも注力してきた。主体的に学ぶ少人数制のゼミは、学生の人間形成にもつながる。2026年度から導入している「Q (課題探究)入試」は、このような獨協大学の教育理念を反映した制度になっている。

 Q入試はドイツ語学科、フランス語学科で実施しており、受験生は各学科が事前に発表した探究課題について3000字程度のレポートを作成して提出しなければならない。入試当日は、その課題についてのプレゼンテーションをし、面接を受けるという流れだ。

 2026年度の探究課題は、ドイツ語学科が「ドイツ語圏についてあなたが興味をもっている事柄を一つ取り上げ、日本と比較しながらその特徴を論じなさい」、フランス語学科が「フランス語圏に関連してあなたが興味をもっている事柄について、あなた自身の経験をふまえて論理的に説明しなさい」というもの。一般的な入試では測れない能力や、ドイツ語圏、フランス語圏について学びたいという強い意欲を評価する。

「本学で学びたいと本気で考えている学生に来てほしい、という思いから考案したのがQ入試でした」と、入試課課長の指物敏一氏は新制度導入の背景を説明する。

 初めてQ入試を受けた受験生は、2022年度の新学習指導要領により始まった「総合的な探究の時間(探究学習)」を高校1年時から受けている世代だ。探究学習では、生徒自ら探究課題を見つけ出し、その解決に向けて情報収集、調査などを行って、自分なりの解決策をまとめて表現する。獨協大学ではこうした学習活動の経験を活かして、語学教育や主体的な学びに対する意欲を示してもらいたいと考えた。

「提出課題の3000字は全て文章でもいいですし、図表や資料添付をしてもよいとしています。探究課題に向き合うことで、4年間学びたいかどうかをじっくり考える機会にしてほしかったのです。昨年(初年度)は6月に公表したので受験生はほとんどいないのではないかと思っていましたが、実際には予想以上の受験者数となりました。今年はさらに受験者が増えることを期待し、1次試験通過者のみ2次選考に進める形をとりますが、基本的な内容は同じです」

受験生と保護者のことを考えて日程を設定した「国公立併願型」

 2026年度一般選抜の大学入学共通テスト利用入試で導入した「国公立併願型」は、これまで「共通テスト利用入試 【中期】」として実施してきた試験とほぼ同じものだが、受験生への分かりやすさや受験機会の拡大のために新名称とした。

 国公立併願型の入試科目は、4科目型と5科目型(国際教養学部は5科目型と6科目型)を設定しており、両方の科目型に出願することも可能だ。また4科目型の場合は、「英語」、「現代文」、「地歴・公民」に「古典」を組み合わせることで、私大専願の受験生にとっても対応できる。

 出願締め切りは共通テスト実施日以降なので、共通テストの自己採点次第で出願できる。合格発表日は国公立大学の2次試験前の日程に設定されているため、ここで合格が分かっていれば、精神的負担を少しでも軽くして国公立大学の入試に臨める。さらに入学手続き締切が国公立前期試験の合格発表後の日程になっているので、近年問題視されている“入学金の二重払い”という経済的負担を負わずに済むよう考えられている。受験料についても、2志願まで1万7000円、3志願目以降はプラス5000円というように、あらゆる面で受験生と保護者の負担が軽減されるように配慮されている。

「国公立大学志望者だけでなく、共通テストの多科目受験を活かせる入試方法です。併願校としての受験機会を増やすことで、獨協大学の良さを知ってもらえればと考えています」と、指物氏はこの制度に込めた思いを説明する。

本当に学びたいことは何か。じっくり考えて選んでほしい

 新たに導入された2つの入試制度は、獨協大学の特徴や強みをよく知ってもらい、「ここで学びたい」という意欲のある学生との出会いを増やすための取り組みである。現時点ではドイツ語学科とフランス語学科でのみ行なっているQ入試だが、他学科でも導入したいという声があるという。「探究学習の成果と入試の接続をしたいと考えたのですが、その学科のアドミッションポリシーを知ってもらう仕組みとしてとても有効だと感じています」と指物氏は語る。

 獨協大学には、出願基準を満たした上で、小論文と面接で選考する「自己推薦入試」という総合型選抜があり、ドイツ語学科とフランス語学科についてはQ入試と併願することができる。Q入試と自己推薦入試の両方に出願して、先に結果が出るQ入試に合格した場合は、自己推薦入試の検定料は返還される仕組みとなっている。これも保護者の負担を軽減しつつ、本学を志望する受験生の意欲をできるだけ受け止めようとするものだ。

「受験生には、本当に自分が行きたい大学、学びたいことをじっくり考えて進学先を選んでほしいのです。そうやって決めたところであれば充実した4年間を過ごせますし、より良い進路につながります。保護者の皆さんは、お子さん自身のやりたいことを尊重して、学部・学科選びをサポートしてあげてほしいと思います」

獨協大学 入試部入試課長

指物敏一(さしもの・としかず)

大手予備校、受験媒体を扱う広告代理店を経て、2006年獨協大学入職。2019年より現職。

 

◆獨協大学について

1964(昭和39)年、第3次吉田内閣の文部大臣も務めた天野貞祐(あまの・ていゆう)博士を初代学長に獨協大学を設立。学生数8,421人(2026年5月1日現在)。外国語学部・国際教養学部・経済学部・法学部の4学部11学科、大学院、 4つの研究所を備えた私立大学。 所在地は埼玉県草加市。
建学の理念は「大学は学問を通じての人間形成の場である」。
ドイツ教養主義精神を原点に、前身である獨逸学協会学校から数え130年以上もの実績を誇る外国語教育と教養教育、ゼミナール教育を重視している。
ゼミナール教育は学生と教員また卒業生との絆を生み出し、全ての学部、学科の学生が同じキャンパスで学ぶ「オールインキャンパス」と相まって独特のフレンドリーな雰囲気を醸成している。

 

大学ジャーナルオンライン編集部

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