社会人向け共学大学院の東洋英和女学院大学大学院では、リスキリングやキャリアアップなど、さまざまな目的で幅広い年代の社会人が学んでいる。人間科学研究科 人間科学専攻 幼児教育・発達臨床学領域 修士1年の田村真穂さんも、そのひとりだ。大学院への入学を決意した理由や、普段の学びの様子、将来への展望などを伺った。

もう一度保育を学びたい。働きながら気づいた大学院への興味
田村さんは東洋英和女学院大学の保育子ども学科(現・子ども教育学科)の卒業生。横浜市の幼稚園で働く、現役の幼稚園教諭だ。社会人6年目を迎えると同時に、東洋英和女学院大学大学院に入学した。
「働き始めて数年間は仕事で手一杯でしたが、少しずつ自分で保育を考えて実践する機会が増えました。子どもとの遊びをどう広げていったらいいのかなど、だんだんと疑問がわいてきて。また、海外に短期研修に行く機会があったことで、日本の保育をもう一度学びたいと思うようになったんです。現場に出て子どもと関わったからこそ、大学院への関心が強まりました」
指導教員である西洋子教授の影響も大きい。学部時代から、西教授には大学院という選択肢を提案されていた。また、卒業後も西教授のワークショップに参加するうちに、大学院進学という道が現実味を帯びていったという。
「ワークショップでは院生の方とお会いする機会もあって。とくに昨年お話を伺ったときに、大学院に通ってみたいかも、という、心の中にあった興味に気づけました」
西教授のもとで学びたい、という気持ちから、進学先は東洋英和女学院大学大学院を選んだ。また、学部時代から触れてきた東洋英和女学院大学の保育への向き合い方も、進学先選びの決め手になった。
「本学の保育では、「敬神奉仕」のキリスト教に基づく考えから、子どもの発達や個性、状況をよく見て考えることを大切にし、保育者自身も豊かな感性を得られると思っています。私が今勤めている幼稚園もキリスト教系で、私はひとりひとりを愛すること、子どもの興味関心に寄り添うことなどを大事にしてきました。そういった部分をもう一度学べる点も、東洋英和女学院大学大学院を選んだ理由です」

幼児教育の「当たり前」が変わった。授業で感じた視野の広がり
幼児教育・発達臨床学領域で学んでいるのは、田村さんのような現役の幼稚園教諭だけではない。職種も年齢も幅広く、授業ではさまざまな意見が飛び交っている。
「当たり前だと思っていたことが実はそうとは言い切れなかったのだと、視野が広がりました。5年間勤めていると、子どもへの声のかけ方や関わり方など当たり前になってきてしまう部分もあって。でもみなさんの意見を聞くうちに、ほかの職場にはまったく違う考えもあるのだと知れました。新しい視点を得て考えることがとても楽しいです」
田村さんが印象的だと語ってくれたエピソードのひとつが、「保育内容特論」という授業で扱った運動会で順位をつけるかどうか、という議論だ。
「私が働いている園では、みんなで力を合わせて最後までバトンをつなぐことを目的にしています。だから順位はつけません。でもほかの方からは、社会に出たら順位がつくこともある、という事実を知る機会があってもいいのでは、という意見が出たんです。どちらの考え方にも理由がきちんとあって、優劣はないのだと気づきました。この話だけではなく、保育に関わる大人が話し合っていくことが大切だと思いました。」
ほかにも「情報教育特論」では、保育とICTについて学んでいる。職場ではなじみのなかったICTだが、授業内で保育園や幼稚園での実践事例を知り、イメージが変わったそうだ。
「授業を受けるまでは、ICTに対してあまりいいイメージを持っていませんでした。でもその園では、劇で使う音をタブレットで作って流していたんです。音を作るときにも、友だち同士で、どうしたらイメージ通りの音になるかを話し合っていて。保育のツールのひとつとしてICTを活用する、という使い方もあるのだと知りマイナスイメージが変わりました」

実践しながら学ぶ重要性。社会人大学院を選択肢のひとつに
現在は幼稚園の担任をしながら大学院に通っている田村さん。仕事との両立は大変だが、働きながら学ぶことへの魅力も実感している。
「実践を頭に思い浮かべながら学べるので、内容が頭に入ってきやすいです。学部時代に学んだことであっても、忘れていた部分を思い出せたり、重要な点に気づけるようになったりしました。これからも子どもたちのいちばん近くにいる存在として、働きながら学びたいです」
東洋英和女学院大学大学院では平日の夜と土曜日に授業を開講している。オンラインで受講可能な場合も。こうした環境も、仕事との両立を支えている。
「平日は18時30分から授業が始まるので、仕事を終えてからすぐ出発すれば間に合います。勉強時間は、土曜日の授業後や、日曜日に確保することが多いです」
田村さんは修士修了後も、引き続き幼稚園で働きたいと考えている。大学院での学びや研究は、子どもたちへの向き合い方にも前向きな影響を与えるだろうと期待を寄せた。
「これまでの5年間は、子どもたちと対話しながら、学んできたことをアウトプットしてきました。でも、知らないことが多すぎると気づいたので、もっと多くのことをインプットしたいです。より多くの視点や選択肢を持ち、子どもたちと関わっていきたいと考えています」
入学前は仕事と大学院の両立などに不安を抱えていたものの、現在は入学してよかったと感じている田村さん。最後に、大学院入学を検討している方へのメッセージを伺った。
「転職や結婚など、人生にはさまざまな選択があります。その選択肢のひとつとして、社会人大学院がもっと広まったらいいな、と思いました。とくに保育業界は大変なことばかりで、余裕がない時期もあるかもしれません。でも大学院では、一歩引いた位置から自分の保育を振り返ることができます。学び直すというよりも新しい発見をするような感覚です。しかも大学院は2年間学びが続いていくので、短期間の研修よりも内容が身につき、実践を交えながら保育を深められます。学びたいという気持ちがあれば、ぜひ大学院進学も考えてみてください。その選択の先に、東洋英和女学院大学大学院があると嬉しいです」

東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科 人間科学専攻 幼児教育・発達臨床学領域 修士1年
田村真穂さん
東洋英和女学院大学の保育・子ども学科(現子ども教育学科)を卒業。横浜市の幼稚園に勤務しており、2026年4月に東洋英和女学院大学大学院に入学した。

