社会人の「学び直し」に対するニーズが高まる中、大学で社会人向けプログラムや通信教育課程を新たに導入する動きが高まっている。なかでも岡山理科大学が2025年度に開設した「通信教育部 情報理工学部」は、スクーリング不要、完全オンラインで実務に役立つ専門スキルを習得できることから、大きな注目を集めている。通信教育部 情報理工学部長の劉 渤江教授に、「仕事と学びの両立」を可能にする「岡山理科大学独自の学習手法」について詳しく伺った。

 

岡山理科大学 通信教育部 情報理工学部長 劉 渤江(りゅう ぼじゃん)教授

「学び直し」のニーズに応えるため、通信制の情報理工学部を開設

 1964年創立の岡山理科大学は、「ひとりひとりの若人が持つ能力を最大限に引き出し、技術者として社会人として社会に貢献できる人材を養成する」を建学の理念に掲げている。西日本初の「理学部」単科大学としてスタートを切り、時代のニーズに応える形で学部を拡充。中四国最大規模の私立総合大学へと発展した。

 理・工・情報理工・生命科学・生物地球、教育、経営、獣医の8学部を有しているが、なかでも通学制の情報理工学部は、1997年開設の総合情報学部情報科学科と工学部知能機械工学科を母体としており、AIやロボティクス、デジタルメディアなど、最先端の学びを採り入れている。「時代に即した学びが得られる」として多くの受験生を集めたことから「より多くの人々に学びの機会を――」と考え、数年前から準備を進め、2025年4月に「通信教育部 情報理工学部」を開設した。
 
 通信教育部 情報理工学部の劉 渤江学部長は、通信教育部開設の経緯についてこう語る。

「昨今、社会人の学び直しに対するニーズが高まっています。特に情報技術に関しては、文系人材であってもビジネスシーンで知識が必要となる機会が多く、『情報技術を系統立てて学びたい』と考える社会人が非常に多い。こうしたニーズに応えることを目的に、通信教育部の開設に至りました。グローバル化が進む企業環境の中で、日本のビジネスに関わりたいと考える海外在住者も含めて、国内外の社会人をメインターゲットに据えました」

実務家を教員に招き、ビジネスシーンで応用できる情報技術を授ける

 通信教育部のカリキュラムは、通学制の情報理工学部をベースに再設計しながらも、独自性が非常に高い。「情報システム」「AI技術」「デジタルゲーム・メディア」「ビジネスデータサイエンス」の4分野に集約し、基盤教育科目で幅広い教養を身につけながら、専門教育科目で情報理工学の基礎から応用までを体系的に学ぶ。

「特にビジネスデータサイエンスは、通学制の情報理工学部にはない専門分野です。AIやデータサイエンスをビジネスシーンで応用できるよう、⾦融や流通システムなどの領域におけるデータ分析技術を習得します」と劉学部長。

 ビジネスの第一線で活躍する実務家が教員として名を連ねており、例えば「デジタルゲーム・メディア」では現役テレビマンや映画監督といった映像のプロや海外でも実績を持つアニメーション制作の専門家が、「AI技術」では世界有数のテクノロジー企業の担当者が、「ビジネスデータサイエンス」では現役銀行員らが授業を担当する。

集中力を高め、仕事との両立を可能にした「学びのスタイル」

 また、通信教育部の学び方の中核をなすのが、LMS(学習管理システム)を活用した完全オンライン授業だ。スクーリング(通学)は不要で、期末試験もオンラインで受けられる。パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットからもアクセスでき、24時間いつでも学習を進められる点に特徴がある。

 授業は1コマあたり、約10分の動画6本と小テスト・レポートで構成されている。動画の視聴やノートへの記録を含め、1コマあたり90分程度の学習時間を想定している。

「人間が動画を見て集中できる時間には限界があります。特に通信教育では、教員がそばにいないため、どうしても集中力が途切れやすくなる。実際、90分の動画を見続けるのは大変です。ならば、10分単位に短く区切って、間にテストを挟んではどうだろう。このように学習者の視点で考え、現在のスタイルにたどり着きました」

 10分の動画を視聴し、小テストに合格しなければ次の動画に進めないが、わからないことがあれば、LMSの質問機能で教員に聞くことができる。またディスカッション機能を通じて、他の受講生と意見交換をすることも可能だ。「動画を視聴する時間は学生によって異なりますが、LMSのさまざまな機能を活用することで、他の学生や教員と関わりながら学ぶことができます」

 15回の授業を終えると期末試験に臨む。顔認証で本人確認を行い、指定された2週間の中で都合のよい日時に受験し、合格すれば単位取得となる。

 また、4年次には、卒業研究に相当する演習科目「情報理工学セミナー1・2」が用意されている。通信教育部の基幹教員10名が連携し、学生の卒業研究と成果物作成をサポートする。

 文系出身者や、長く学習から離れていた社会人への配慮も手厚い。「数学入門」や「情報基礎数学」などの基礎を学ぶ授業が用意されているほか、入学前には「数学」と「英語」の授業を受けることができる。また、海外在住で母国語が日本語ではない学生に向けて「理系用語解説」を用意し、多様なバックグラウンドを持つ学習者をサポートする。

 さらに、一定の条件を満たせば、3年次に通学制へ転籍することも可能だ。日本企業への就職を志望している海外在住者のニーズに応えて設けた制度で、通学制へ転籍後、インターンシップへの参加や日本での就職活動に臨むことを想定している。

 こうしたサポート体制の充実には、岡山理科大学が長年にわたって培ってきた「学生への面倒見の良さ」が根底にある。「本学の教員は学生と真摯に向き合い、丁寧に育てることを大事にしてきました。この姿勢が通信教育部にも引き継がれています」と劉教授は語る。

情報技術を体系的に学び、卒業後のキャリアに生かしていく

 2025年に入学した一期生の学習状況について、劉教授は興味深い傾向を示してくれた。

「高校卒業後、本学の通信教育部に進学した学生と比較すると、社会人学生の方が学びの進捗も成績も良い傾向にあります」

 仕事を終えて帰宅し、子どもを寝かしつけてから2時間勉強する社会人学生もいれば、40代の管理職で、久しぶりの学習に苦労しながらも学び続けている社会人学生もいる。「社会人学生は、いずれも学ぶ目的がはっきりしています。だからこそ、どんなに忙しくても時間をやりくりして学び続けているのかもしれません」と劉教授は分析する。

 好きな場所で好きな時間に「質の高い情報教育」を受けられる機会を提供すること。そして、実務に生かせる情報の専門スキルを学生に授け、社会に還元してもらうこと。これが、岡山理科大学が目指す「通信教育部」の学びのあり方だ。

 劉教授は「今後も、社会人の受け入れをさらに拡大していきたい」と語る。「セミナーを繰り返し受ける方法もありますが、それでは知識が散漫になってしまうかもしれません。本学の通信教育部なら情報技術を体系的に学べますし、得た知識を自身のキャリアや仕事に生かすことができます。ぜひ、多くの社会人の方に、本学の通信教育部への進学を検討してほしいですね」

 社会人として忙しい日々を送りながら、学び直しを考えている方へ。岡山理科大学 通信教育部 情報理工学部は、あなたの挑戦を待っている。

岡山理科大学 通信教育部 情報理工学部長

劉 渤江(りゅう ぼじゃん)教授

大阪大学にて工学博士号を取得。専門はデータ工学、マルチメディア情報処理。1996年より岡山理科大学に在籍し、情報教育の推進に30年にわたって携わる。通学制情報理工学部学部長を経て、通信教育部 情報理工学部開設時より現職。

 

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大学ジャーナルオンライン編集部

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