2023年4月に心理学部(仮称)を開設予定(設置構想中)の龍谷大学は、2022年1月11~13日、新年度に向けて企業の上司・部下1,000人を対象に、その関係性や世代間ギャップについてのアンケート調査を行った。

 龍谷大学心理学部は心理学を活用したコミュニケーションによって、持続可能な開発に向けた共創の推進を目指している。2022年4月に「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」が全面施行されたことを受け、心理学部 水口政人教授(2023年度就任予定)が、上司・部下の意識の違い、その要因、解決策について心理学の観点から考察した。

 調査はインターネットアンケート(全国)により、企業に勤める部下(20~30歳)、上司(45~60歳)を対象に実施した。有効回答数は部下500人、上司500人。

 調査によると、「パワハラと指導の違いは曖昧と感じるか?」という質問に、上司は61.8%、部下は53.8%が「曖昧」と回答。4月からのパワハラ防止法全面施行を前にどちらも半数以上が曖昧さを感じており、部下を指導する立場の上司の方が、部下よりも8ポイント高い結果となった。

 また「仕事は言われたこと以外も主体的に取り組むべきか?」という質問に対しては上司の87.4%、部下の75.4%が、主体的に取り組むべきと回答。その差は上司が12ポイント高く、部下に対する要求の高さがうかがえる。

「仕事は見て盗むものだと感じるか?」については、上司は66.6%が「仕事は見て盗むもの」と回答し、部下の55.6%よりも11ポイント高い意識がみられた。コロナ禍で実際に「見る」機会が減少しているなかで、これからのOJTの在り方について検討の必要性を感じさせる。

 水口教授は、「上司は、期待値に対して部下の行動が伴わない際にイライラし、その打開策を『厳しい指導』に向けてしまっている状態がある。何故部下は、期待する行動をとらないのか?その根本を紐解けば、パワハラを未然に防ぐことができる」と考察している。

 龍谷大学心理学部(仮称)特設サイトでは、部下が求める上司、求めない上司ランキングや部下が求める「褒め言葉」ランキングなども掲載。より詳細に上司・部下の意識ギャップを考察し、良好な関係構築のための対策を提言している。

参考:【龍谷大学心理学部(仮称)特設サイト】新年度スタート!全国の上司・部下1,000人に聞く「世代間ギャップ」調査 第二弾 本年4月、「パワハラ防止法」全面施行! パワハラと指導の違いは曖昧!?部下が言われてうれしい褒め言葉に、パワハラにならない意識のヒントが? 

大学ジャーナルオンライン編集部

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