和歌山県立医科大学は2023年度の医学部医学科入学試験で、和歌山県内で医師が不足している産科などに特別枠を設けることを決めた。産科枠の新設は全国初で、合格者は卒業後9年間、和歌山県内の公的病院で働き、産科医不足の解消に貢献する。
和歌山県立医科大学によると、医学部医学科には県内の公的病院で9年間働く県民医療枠が設けられ、毎年20人程度を受け入れてきた。2023年度入試からは県民医療枠に新しく産科枠と産科、小児科、精神科が対象となる不足診療科枠を設ける。産科枠は学校推薦型選抜で3人程度、不足診療科枠は一般選抜の前期で2人程度を選ぶ。
特別枠の入学者も全国から募集し、入学すれば6年間の在学中、和歌山県から修学資金が支給される。不足診療科枠の入学者は初期臨床研修終了年次に3診療科の中から自らが進む診療科を選ぶ。県民医療枠、産科枠、不足診療科枠の選抜方法は7月に公表予定の入学者選抜要項で詳細を発表する。
和歌山県によると、県内の医師は約5割が県北部の和歌山市に集中し、県南部など多くの地域で医師の確保が次第に難しくなっている。特に状況が深刻なのは産科医で、地域の公的病院で対応してもらえず、わざわざ和歌山市など産科医がいる他の地域へ通う人が増えている。2022年度の和歌山県立医科大学入学者には、産科医志望がいなかったという。