藤江 隼平さん(大阪市立自然史博物館)・藏滿 司夢さん(筑波大学生命環境系)・田村 和暉さん(当時 茗溪学園高等学校、現 茨城大学農学部)の研究グループは、マメ科植物を食べる身近なゾウムシであるシロコブゾウムシの成虫に寄生するコマユバチの仲間を世界で初めて発見した。
寄生蜂の中でもハラボソコマユバチの仲間は特異で、幅広いグループの昆虫に寄生し、通常はあまり利用されない成虫を寄主として利用できる。甲虫の成虫に寄生する属もあり、そのうちPerilitus属は世界で140種ほどが知られている。
研究グループは、茨城県つくば市、奈良県橿原市、大阪府高槻市でシロコブゾウムシの成虫を採集。茨城県の70頭中2頭がPerilitus属の寄生蜂に寄生されていた。寄主のシロコブゾウムシ成虫の肛門から、20〜50頭の寄生蜂幼虫が脱出し、それぞれの幼虫が独立して繭を形成。寄生蜂幼虫が脱出した後のシロコブゾウムシ成虫は1日以内に死亡した。羽化した寄生蜂のメス成虫をシロコブゾウムシ成虫と一緒に入れると、寄生蜂メス成虫がシロコブゾウムシを後ろから追いかけたり、体の上に乗りかかったりする行動が観察できた。
得られた寄生蜂の形態観察を行った結果、モンゴルが原産地のPerilitus eugeniiや中国のP. xynusに類似していたが、明確な形態的違いにより新種としてPerilitus mahout と命名した。種小名の”mahout”は英語で「象使い」を意味し、この寄生蜂のメスが寄主のシロコブゾウムシの背中に乗る様子に由来する。
シロコブゾウムシに寄生する寄生蜂が発見されたのは、今回が世界初の事例。研究グループは2017年にシロコブゾウムシを数日間水に沈めても死なないことを発見し、その後も研究を続けてきたことが今回の新種発見のきっかけになったという。
田村さんは研究当時、茗溪学園高等学校(茨城県つくば市)に在籍。同校ではIBコースを除く高校2年生全員が約1年間かけて自ら設定したテーマについて調査・研究に取り組んでおり、今回の研究は、田村さんが在学中に取り組んだ「個人課題研究」をきっかけとして発展した。
論文情報:【Zootaxa】A new euphorine species of the genus Perilitus (Hymenoptera: Braconidae), a novel parasite of adult Episomus turritus (Coleoptera: Curculionidae)
参考:【茗溪学園中学校高等学校】高校在学中の個人課題研究から新種の寄生蜂を発見 ― 本校卒業生が学術誌に論文を発表
