喫煙者ほど配偶者から暴力を受けやすく、未就学児を持つ親ほど虐待をしてしまうのではないかという不安が強い-。東北大学大学院教育学研究科の鴨志田冴子博士課程後期学生、若島孔文教授らの研究グループがコロナ禍で発生する家庭内暴力や児童虐待など家族問題についてアンケート調査したところ、こんな結果が出た。
研究グループは2021年10月、日本国内在住の子どもを持つ親を対象にウェブアンケートを行って220人の回答を分析し、コロナ禍における同居家族と家庭内暴力や児童虐待、インターネット依存症、精神的健康などとの関連を調べた。
それによると、喫煙者ほど配偶者からの暴力を受けやすく、未就学児がいる親ほど虐待をしてしまうのではないかという不安が大きいことが分かった。
コロナ禍で収入が減った家族、部屋数が少ない家族、コロナ禍でも有職の家族にインターネット依存症が多く、コロナ禍で収入が減った家族、コロナに対する意見の対立がある家族は精神的健康が良くない可能性が見られた。
研究グループは喫煙が夫婦間の葛藤や暴力につながり、リモートワークの拡大で1日中インターネットに触れるようになったことなどが影響した可能性があるとみている。
ただ、これらの結果はあくまで一時点での調査であり、直接な因果関係の解釈には至っていない。このため、結果については慎重に解釈する必要があるが、コロナ禍で家族支援をするうえでのリスク評価指標として参照できそうだ。