首都大学東京と株式会社GA technologiesは、共同研究により不動産業界の業務効率化を目指し、業務時間最大55%の削減に成功したことを発表した。

 少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少から、企業活動における業務効率化及び生産性向上は重要な課題となり、その一つの解決方法としてAI(人工知能)の役割が大きな注目を集めている。
 不動産業界でも、デジタル化の遅れや非効率な業務体系が指摘されており、効率性の低い物件検索や、セールスマンの知識や経験に依存した物件提案が問題視されてきた。そこで本研究グループは、AI活用やRPA(Robotic Process Automation)による不動産業における業務改善への取り組みを開始した。

 この産学共同研究では、首都大学東京の高間研究室が計算モデルを提供し、リノベーション用中古不動産仕入れ業務にAIの機械学習を応用した物件レコメンドシステムを実験的に導入。これにより、物件提案までの時間(中古不動産仕入れ業務のスピード)を最大55%まで削減することに成功した。

 また、AIの画像解析技術を活用した不動産業界初のマイソク(物件の概要、間取り図、地図などをまとめた資料)自動読み取りなどを実現し、物件仕入れ業務工数の2/3を自動化することにも成功。仕入れ業務にかかる時間を1/3に圧縮し、人的リソースを顧客とのコミュニケーションや営業活動などに注力できる体制を実現した。

 共同研究グループは今後、他業務のさらなる効率化を目指すとともに、地域をまたいだ類似物件レコメンドシステムの研究開発に取り組む予定だという。さらに将来的には、これらの業務支援システムの外部向け販売を通じて、不動産業界全体の生産性向上やユーザー利便性の高い不動産サービスの創出を目指すとしている。

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