日本大学生物資源科学部の澤山英太郎准教授らが全国の主なマダイ養殖産地周辺で生息する天然マダイ集団をモニタリング調査したところ、高知県、愛媛県、長崎県で他地域と異なる遺伝的特徴が見つかった。澤山准教授らは逃げ出した養殖マダイとの交雑が影響したとみている。

 澤山准教授らはマダイ養殖が活発な地域として三重県、和歌山県、高知県、愛媛県、長崎県、熊本県、周辺で養殖されていない地域として青森県、兵庫県を選んで8県それぞれ48以上のサンプルを収集し、集団遺伝解析を行った。

 それによると、養殖集団間には統計的に有意な遺伝的分化が見られ、養殖集団と天然集団の間も同様の結果が出た。天然集団だけを比較すると、地理的に離れた青森県と兵庫県に明確な遺伝的分化が認められなかったが、高知県、愛媛県、長崎県の集団は他地域と異なる遺伝的特徴が確認された。

 さらに、各個体の遺伝的構成を推計すると、高知県と愛媛県の集団に養殖集団が持つ特徴が見つかった。澤山准教授らは愛媛県の宇和海で養殖マダイの逸出が起きていることから、逃げた養殖マダイとの交雑が起きたとみている。

 そこで、養殖マダイとの交雑を評価した結果、高知県と愛媛県、長崎県は他地域と比べて養殖集団由来の遺伝的影響が相対的に強いことが示された。また、これらの地域では、養殖魚と天然魚の遺伝的混合を示すカテゴリーに分類される個体の割合が 30〜40%程度に達しており、養殖集団由来の遺伝的影響を受けた個体が相対的に多いことが分かった。

論文情報:【Aquaculture】Influence of farm escapees on genetics of red sea breamPagrusmajor revealed by GT-seq SNP panel

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