東京理科大学と埼玉大学大学院の研究グループは、複数言語における感情概念を解析し、人間の感情概念と関わりの深い中心的感情が「GOOD」「WANT」「BAD」「LOVE」の4つであることを明らかにした。

 感情や感情に関連する概念はコミュニケーションや自然言語処理、感情分析に重要な役割を果たす。感情分析とは文章や発言から感情や意見を抽出し解析すること。肯定的、否定的、中立的な意見など、テキストや音声情報から感情を推定でき、SNSモニタリング、商品レビュー分析などに役立つ。

 colexification(コレクシフィケーション)とは1つの単語が複数の概念を意味する現象で、分析により言語が概念をどのように捉えて表現しているかを理解できる。colexificationを呈する複数の概念をネットワークととらえて解析し、多様な感情に関する概念間の関連性を複数の言語で調査した。

 その結果、他の多数の感情と関連性の高い、ハブとなる中心的概念「GOOD」、「WANT」、「BAD」、「LOVE」を見出した。次に、この4つのハブと他の感情概念の関連性の高さにより6階層に分類し、同系列の感情概念を5つのコミュニティとして定義した。その結果、ハブに近い階層の感情概念の多くはハブと同じコミュニティだったが、「HOPE」、「HAPPY」、「GLOOMY」など、ハブと同じコミュニティでもハブとの関連性が低い概念もあった。

 また、正反対の「GOOD」と「BAD」の両概念に関連した概念として「BIG」、「SMALL」、「ANIMAL」、「WHITE」、「SICK」、「BRAVE」の6つを確認した。例えば、英語の「BRAVE」には「立派」と「無謀」など、「GOOD」と「BAD」に関連する要素を含む。

 今回の研究を発展させることで、革新的な自然言語処理、感情分析手法の確立に貢献することが期待されるとしている。

論文情報:【Scientific Reports】Central emotions and hubs in a colexification network

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