学校法人立命館は、大学職員の専門性と総合性を併せ持つ新たな人材育成を進める取り組みを行っており、2024年1月から「学内副業」制度を試行的に実施している。多様な人材と協働して課題解決や価値創造を推進する総合性を高める狙い。

 大学職員は一般的に「事務を執る」とイメージされているが、業務が急激に多様化、複雑化、高度化していく中、新たな価値を創造するプロフェッショナルな大学職員に転換する必要性が叫ばれている。また、課題解決や価値創造を行うには、多様な人材と協働し、多様な知を組みあわせる力も必要となる。

 このような社会情勢のもと、立命館ではさまざまな人事政策を進めており、2030年に向けた学園の中長期ビジョンを遂行するため、全学での議論を踏まえ、職員の専門性と総合性を併せ持つ人材(「T型人材」として、縦棒を専門性、横棒を総合性とした人材モデル)の育成を推進している。

 さらに2024年1月からは、各々の業務基盤を持ちながら、多様な人材と協働して課題解決や価値創造を推進する総合性を高める取り組みとして「学内副業」制度を試行的にスタートさせた。学園内でいくつかの部門から集約されたミッションを遂行する人材を募集し、現所属部課に在籍のまま、異動や兼務発令をせずに他の部門の業務に従事するというもので、従事する時間は業務時間の2割以内で、民間企業の先行事例を参考にした。

 これにより、職員は人事異動ではない形でさまざまな業務を経験することが可能となり、「自らの適性を発見しキャリアプランを検討する」「新たな業務分野への展開を構想する」など自身のキャリア形成にも有益となる。また、従来、個々の能力は自己申告や上司による評価で判断されてきたが、新しい形で人材の発掘にも繋がることを期待させる。

 今後、「学内副業」制度は試行により実践的に状況や課題を明確化し、大学オリジナル制度として必要な見直しを図る。

参考:【立命館大学】大学職員の新たな働き方、始まる 学校法人立命館 学内副業制度について 複雑化する社会の中、新たな価値を創造するプロフェッショナルな大学職員へ(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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