IoT、AIといった情報科学技術の急速な発展、国際競争の熾烈化、デジタル改革の推進を受け、政府は2019年6月に「AI戦略2019」を策定した。この戦略に対応し、「数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアム(以下「コンソーシアム」)」は、全国的なモデルとなるカリキュラムとして「数理・データサイエンス・AI教育モデルカリキュラム(以下「モデルカリキュラム」)」を策定したが、学修項目や知識・スキルが体系的・網羅的に整理されている一方で、大学等からは「実際の授業に際して内容や構成をどうすべきかわからない」、「モデルとなる教材がほしい」などの声があがっていた。
こうした要請に対応すべく、コンソーシアムの事務局でもある東京大学数理・情報教育研究センターは、モデルカリキュラムに完全準拠した教材(スライド教材、実習用補助教材等)を開発。2021年6月8日に国内すべての大学・高等専門学校等へ向けて無償公開を開始した。
本教材は、モデルカリキュラムが掲げる「獲得する知識・スキル」の192のキーワードをすべて網羅した上で、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC BY-NC-SA;表示-非営利-継承)の下での利用が可能。モデルカリキュラムの内容すべてが落とし込まれた教材の公表は全国で初めての試みであるだけでなく、各大学等での利用のしやすさにも配慮されている。コンソーシアムは今後、本教材を活用したワークショップ等で、活用支援・普及活動を展開していくとする。
本教材の公開により、専門分野の教員不足等の課題を抱える教育機関でも教育の促進が見込まれ、数理・データサイエンス・AI人材育成の全国的な広がりおよび教育の質向上につながることが期待される。
参考:【東京大学 数理・情報教育研究センター】数理・データサイエンス・AI モデルカリキュラム完全準拠教材の無償提供開始~東京大学MIセンターが開発~(PDF)