畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの重藤隼人客員研究員と森岡周センター長らの研究グループは、運動感覚に関連する痛みが身体知覚の変容と関係していることを明らかにした。
疼痛を有する患者は、痛みそのものに加えて、「自分の身体がどこにあるかわからない」「身体の大きさや位置が変に感じる」といった“身体知覚の変容”を経験することがある。これまで、痛みと身体知覚異常との関連は指摘されてきたものの、どのような性質の痛みが特に強く関与するのかについては、十分に解明されていなかった。
そこで本研究では、機械学習手法の一つであるSHAP(SHapley Additive exPlanations)解析を用い、筋骨格系疼痛患者における痛みの性質と身体知覚の変容との関連性を検証した。質問紙によって痛みの性質および身体知覚を評価した上で、SHAP解析により、各痛みの性質が身体知覚の変容にどの程度寄与しているかを定量的に解析した。
その結果、「かじられるような」「刃物で突き刺されるような」「割れるような」「気分が悪くなるような」「ちくちくする」「焼けるような」「ひきつるような」「うずくような」「鋭い」といった複数の痛みの性質が、身体知覚の変容と高い相関を示した。なかでも、運動感覚との関連が示唆されている「ひきつるような痛み」「うずくような痛み」「かじられるような痛み」は、身体知覚の変容に特に強い影響を及ぼすことが明らかとなった。
本研究の成果から、特定の痛みの性質が身体知覚の変容に関与している可能性が示された。これにより、痛みの性質に基づいた評価や介入戦略の重要性が示唆される。特に、運動感覚に関連する痛みを訴える患者に対しては、感覚運動連関に焦点を当てた評価やリハビリテーションアプローチが有効である可能性があるとしている。
