東京大学大学院とアニマルアイケア・東京動物眼科醫院の研究グループは、犬が好きなものを見たときに示す表情を観察するための、飼い主が自宅で実施できる行動試験系を開発した。
犬は表情が豊かな動物であり、世界中でペットとして広く飼育されていることから、社会的にも獣医学的にも重要な存在だ。そこで、犬が好きなものを見たときに示す表情を客観性高く評価するため、飼い主が自宅で実施できる行動試験系を開発した。
研究グループは、この試験で、飼い主が犬に「おすわり」「待て」を指示した後、好きな食べ物を見せる条件、食べ物以外の好きなもの(おもちゃ等)を見せる条件、何も見せない対照条件を設定。各条件で犬の表情をスマートフォンで1分間撮影し、表情の客観的記述用計測システムであるDogFACSを用いて顔の各部位の動きを解析した。
その結果、雌雄とも、好きなものを見たときには「唇の分離」「顎の下落」「舌出し」「耳の内転」という4つの動きを示すことが判明した。さらに2つの性差があることも明らかになった。1つ目は動きの種類で、オスはこれらに加えて「上唇の挙上と鼻のしわ寄せ」「下唇の下落」「唇なめ」「鼻なめ」という4つの動きを示した。2つ目は動きの持続時間で、メスの動きが試験期間の前半に限られていたのに対し、オスでは全ての動きが試験期間を通じて現れた。
今回開発した試験系は、簡便な手法と客観性の高い解析方法を組み合わせていることから、獣医療など、様々な分野への応用が期待されるとしている。

