東京科学大学大学院の研究グループは、東京大学、熊谷総合病院との共同研究により、歯周病を簡便かつ安価に早期検出できる手法を開発した。

 歯周病は、歯垢に含まれる細菌によって歯茎や骨に炎症が生じる疾患であり、重症化すると歯が抜け落ちるだけでなく、全身の病気を引き起こすことも知られている。このため、歯周病の早期検出は重要だが、従来の手法は専門的な技術を要し、高価で複雑だった。

 研究グループは今回、歯周ポケットに小さな紙片(ペリオペーパー)を挿入し、そこに付着した歯肉溝滲出液中の歯周病関連バイオマーカー分子を、複数の対象物質を同時に測定できるレーザー光を用いた分析手法(ラマン分光法)で解析した。ペリオペーパーには、安価で極薄かつ柔軟であり、さまざまな表面に貼り付け可能な銀ナノメッシュ製の基板(表面増強ラマン散乱分光[SERS]基板)を組み込み、バイオマーカー分子の高感度測定・分析が可能となった。

 この結果、歯周ポケットが2mmから10mmへ深くなるにつれて、尿酸の濃度が約150μMから20μMへと低下。歯周病の進行度を示す身体的特徴とバイオマーカー分子との関係を定量的に示した。

 今回開発した手法は、銀ナノメッシュを貼付したペリオペーパーを歯周ポケットに挿入するだけで歯肉溝滲出液を簡単に採取でき、前処理を行わずにSERS測定が可能なため、安価・容易に検査を実施できる。歯周病の早期発見により、歯の喪失防止と全身疾患予防につながり、健康寿命延伸や医療費削減に貢献できるとしている。

論文情報:【Analytical Chemistry】Sensitive, low-cost, early detection of periodontal disease using surface-enhanced Raman spectroscopy with easy-to-use silver nanomesh-coated periopaper

東京科学大学

世界を切り拓く先駆者として、社会とともに新たな価値を創造し、科学の可能性を拡張する。

東京科学大学は2024年10月に東京医科歯科大学と東京工業大学が統合して設立されました。両大学の学部や研究科はそのまま引き継がれており、理工学と医歯学の「医歯理工連携」で、新しい研究分野を開拓していきます。また2025年4月からは、自身の専門分野とは異なる分野[…]

東京大学

明治10年設立。日本で最も長い歴史を持ち、日本の知の最先端を担う大学

東京大学は東京開成学校と東京医学校が1877(明治10)年に統合されて設立されました。設立以来、日本を代表する大学、東西文化融合の学術の拠点として、世界の中で独自の形で教育、研究を発展させてきました。その結果、多岐にわたる分野で多くの人材を輩出し、多くの研究成[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。