富士山の山頂が大雨で数センチ隆起することが、北海道大学の日置幸介名誉教授らの測位衛星を用いた地殻変動観測で明らかになった。逆に、山頂から遠い地点は沈降していた。
研究グループは国土地理院が全国に設置した地殻変動観測用の電子基準点の上下動と気象庁のアメダス降雨データを比較し、大雨が降ると富士山の山頂とその周辺部がどのように変化するかを調べた。
それによると、富士山に台風や線状降水帯による大雨が降ると、山頂とその近くの電子基準点が数センチ隆起することを見つけた。地下にしみ込んだ雨水が溶岩流に挟まれた透水層を満たして山体が膨張した結果とみられる。逆に、山頂から離れた溶岩層の外側では、雨水の重みから数センチの沈降が見られた。隆起、沈降とも大雨が終わると、数日で元の状態に回復している。
2021年に日置教授が指導していた学生が静岡県熱海市の洪水に伴い、測位衛星を用いた地殻変動観測で周辺地面の上下動を調べた際、富士山の斜面にある電子基準点だけが隆起していることを発見、研究グループで本格調査を進めていた。
富士山の噴火は江戸時代中期の1707年以来、300年以上なく、いつ次の噴火があってもおかしくないとされている。噴火の際はマグマの活動によって山体の膨張が前兆として現れる。研究グループは今後、噴火予知を進めるうえで、噴火につながらない雨による隆起が存在することが重要な知見になるとみている。
