横浜市立大学の研究グループは、医学研究者を対象とした調査で、結婚の有無と研究キャリアからの離職意向との関連が男女で逆の傾向を示すことを明らかにした。
医学研究人材の減少は世界的な課題とされている。とりわけ女性研究者は、男性に比べて研究キャリアの継続率が低く、結婚や出産などのライフイベントの影響が指摘されている。一方で、結婚や子どもの有無が研究者としての離職意向に与える影響についての男女差はこれまで明らかになっていなかった。
そこで本研究グループは、全国3,009名の医学研究者を対象にウェブアンケート調査を実施し、研究者としてのキャリアを辞めたい意向と結婚および子どもの有無との関連を男女別に解析した。
その結果、3,009名中342名(11.4%)が研究者としてのキャリアを辞めたい意向を示し、結婚の有無が離職意向に与える影響は男女で有意に逆転していることがわかった。男性では既婚者の方が未婚者よりも離職意向が低かった(約4割減)のに対し、女性では既婚者の方が離職意向が高い傾向にあった。同様の傾向は、子どもの有無についても確認された。
さらに、この男女差は、医師ではない研究者と比べて医師でより顕著であることも示された。また、結婚は仕事満足度の向上を介して離職意向の低減と関連することも明らかになった。
本研究は、結婚が医学研究キャリアに与える影響が男女で異なることを示し、医学研究者の人材流出対策には男女それぞれに応じたキャリア継続支援が必要であることを示唆した。特に女性研究者がキャリアを継続しやすい環境整備や制度設計が急務であり、大学や研究機関、学会による支援策の検討に重要な示唆を与えると期待される。
