早稲田大学と三井不動産株式会社は、ともに社会課題の解決に挑み、新たな知見の獲得、イノベーティブな価値観の創出を目指すため「産学連携の推進に関する協定」を締結。共同研究の推進、人材交流・人材育成、大学発ベンチャー創出支援に関する連携、早稲田大学が保有する不動産等の有効活用に関する協力に関し、連携の強化を図る。

 現代の社会は、人口構造・家族構成の変化、シェアリングエコノミーの普及やダイバーシティ&インクルージョンといった価値観の変容、またカーボンニュートラルをはじめとした環境問題への意識の高まりなど、パラダイムシフトを迎えようとしている。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって、リアルだけでなくデジタルワールドも活用したハイブリッドな働き方・学び方など、新しい生活様式が急速に浸透した。様々な分野でデジタルトランスフォーメーションが加速していく中で、都市のあり方を再考すべき時期に差し掛かっている。

 こうした不確実性の高い未来に対応するため、三井不動産と早稲田大学は連携・協力関係を強化し、共同して実践的研究に取り組んでいく。まずは、コロナ後の社会も見据えた多角的なアプローチを通して、高齢化が進んだ都心郊外の住宅地における「経年優化※」の研究を進め、施策の提言に留まらず、テクノロジーをはじめ新たな仕組み等の社会実装を通じ、不動産ビジネスのイノベーション創出を実現していくことを目指す。

 今後の共同研究においては、早稲田大学のあらゆる分野における多様な研究者が参画し、文理融合型の共同研究を展開。三井不動産のデベロッパーとして培った街づくりの知見を掛け合わせることで、その研究成果を社会に還元し、またSDGsに貢献していく。

 早稲田大学は、卓越した知見・技術を持つ教授陣をはじめ、起業家精神を持つ研究者や学生を有し、大学周辺では「早稲田オープン・イノベーション・バレー構想※」を掲げ、ベンチャー企業など新産業の創出に取り組んでいる。この核の一つとなる大学発ベンチャーについて、知財戦略を充実させ、ビジネス創出・経営面での支援を強化。2020年にはJST SCORE(大学推進型)事業に採択され、また2021年10月にはJST「研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム(START)スタートアップ・エコシステム形成支援事業」にも採択されるなど、早稲田大学周囲にエコシステムを展開させ、大学発ベンチャーの創成を積極的に推し進めている。

※「経年優化」とは、三井不動産が目指す街づくりの理念であり、「時を経るにつれて成熟し、価値を高めていくという考えのこと。
※「早稲田オープン・イノベーション・バレー構想」とは、早稲田大学が掲げる「世界で輝くWASEDA」の実現に向けた研究推進の一環として展開する構想。産官学連携、たくましい知性を持つ博士人材の育成、知財創出、ベンチャー創出のサイクルを持続し、オープンイノベーションを実現する①「早稲田オープン・イノベーション・エコシステム」の構築と、早稲田地域をアメリカのシリコンバレーのように、産学連携を含めたオープンイノベーションの拠点を集積させ、拠点間をネットワーク化することで相乗効果を発揮し、新たな「知」を想像する②新研究棟リサーチイノベーションセンター(121号館)を中核とした研究拠点の展開、の二つの柱から成る。

参考:【早稲田大学】三井不動産と産学連携包括協定締結

早稲田大学

研究・教育・貢献を3本柱に、「世界で輝くWASEDA」をめざし改革

早稲田大学は、「学問の独立・学問の活用・模範国民の造就」の3つの建学の理念に基づき、答えのない課題に挑む礎となる力を全学生が磨ける比類ない環境を整備。揺るぎない国際競争力を備えた世界トップクラスの大学「世界で輝くWASEDA」をめざし、「研究の早稲田」「教育の[…]

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