東京音楽大学と東京大学は、東京音楽大学ミュージック・リベラルアーツ専攻と東京大学先端科学技術研究センターが相互に教育交流および学術協力を推進することに合意し、2023年10月17日に協定を締結した。両校は、学豊かな人間性の成長を支え、学際融合研究の推進に資することを目的に、価値創造を目指して活動を展開し、提携講座を通して「響きあうアートの場づくり」をさらに拡充していく。

 東京音楽大学ミュージック・リベラルアーツ専攻は日本の音楽大学で初となる音楽と英語、リベラルアーツを融合した専攻として2018年に開設された。音楽技能に加えて、社会や文化について教養を深め、プレゼンテーション能力や表現力、企画力に長けた人材育成に取り組んでいる。

 東京大学先端科学技術研究センター(先端研)は東京大学の附置研究所の中でもっとも新しく1987年に開設。社会の新課題に対応するための先端的研究の場として材料、環境・エネルギー、生物医化学、情報、社会科学、バリアフリーに取り組んできた。近年、専門的研究の枠を超えた「先端アートデザイン」分野を立ち上げ、感性を豊かにする音楽活動の可能性に着目しており、今回の提携を機に、この分野の拡充を目指す。

 提携講座では、①社会における音楽の役割②音楽が、創造力を養い、異分野の知的活動をつなぐ可能性③音楽の新しい鑑賞方法の開発④音楽が人間の豊かな生活につながる可能性⑤脳科学分野との連携⑥音楽を「語る」能力の開発などのテーマを取り上げる。

 提携に寄せて、東京音楽大学の竹内佐和子特任教授(東京大学工学博士)は「以前、東大工学部で教鞭をとっていたとき、研究者には音楽好きが多いことに気が付きました。科学は細分化され、お互い理解できない言語でしゃべっているが、音楽ならすぐ共感できます。音楽の中に隠れている言葉が語りかけて、対話が始まるのだと思います。音楽は、科学者や作家、詩人との対話によって豊かに発展してきました。そういう対話を増やすことで、音楽の表現も豊かになると思います。音の緻密な動きが過労気味の脳にも刺激を与えるでしょう。現在、大学教育の現場では、芸術の感性をどう取り入れるかが最大の課題です。ここに音大が参加して、新しい『知』とタイアップすれば、社会に打ってでていくチャンスが広がるでしょう。先端研は、大学の現場を超えて、社会にインパクトを与える新しい実験を次々と展開しています。その活動に参加し、音楽表現が創造性や対話力にどうプラスになるのか一緒に考えてみたい」と語っている。

参考:【東京音楽大学】東京音楽大学ミュージック・リベラルアーツ専攻と東京大学先端科学技術研究センターとの教育交流および学術協力に関する協定が締結されました

大学ジャーナルオンライン編集部

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