株式会社資生堂は、次世代の指導的役割を担う女性研究者を支援する、第13回「女性研究者サイエンスグラント」の受賞者10名を選出した。

 現在、STEM(Science、Technology、Engineering and Mathematics)領域では、一般的にジェンダー間の格差が大きいことが課題となっている。日本においては、研究者に占める女性の割合は16.6%(総務省 2019年科学技術研究調査より) で、近年緩やかな上昇傾向にあるものの、世界では29位と諸外国(例:1位アイスランド47.2%、18位アメリカ33.4%)と比較していまだ低い水準にとどまっている。(総務省 2018年科学技術研究調査より)

 このような状況を背景に、資生堂では、指導的立場を目指す意欲があり、科学技術発展への貢献が期待できる女性研究者を支援しようと、2007年に「女性研究者サイエンスグラント」を設立した。グラントとは「研究助成金」の意味。

 「女性研究者サイエンスグラント」の対象研究分野は幅広く、自然科学分野全般の女性研究者が対象。応募には年齢制限がなく、100万円の研究助成金は、出張時のベビーシッター代など女性のライフイベント(出産や育児)時の研究活動のサポート費用から、学生の学会参加費など指導者としての活動費まで幅広く使用できることも特長。2019年までの受賞者119名のうち約4割の研究者が受賞後に自らの研究室を設け、研究活動にまい進している。

 また、2020年度から、WEBを活用した女性研究者同士の交流会を開催する予定。WEBを活用することで、遠隔地から自由に参加することが可能となり、柔軟で多様な研究ネットワーク作りやロールモデルをより身近に感じることができるなど、多くの女性研究者が抱える課題を共有し、解決に向けた活動を支援する。

第13回「女性研究者サイエンスグラントの受賞者」と研究テーマは以下のとおり(敬称略)。植物発生学、腫瘍学、宇宙地球化学、バイオテクノロジーなど様々な分野の受賞者が選出された。

1.秋元 文 東京大学大学院工学系研究科准教授『表面開始精密重合によるハイドロゲル表面の接着性制御(肌や細胞に密着するゼリーのような素材を開発し、医療応用を目指す)』

2.池内 桃子 新潟大学理学部准教授『植物の再生能力を引き出すペプチドホルモンの探索(植物が傷を治し再生することを助けるペプチドホルモンを探索し、その機能解明につなげる)』

3.石澤 有紀 徳島大学AWAサポートセンター准教授『大規模医療情報データベース解析と基礎研究を融合した新規手法による急性大動脈疾患予防戦略の開発(ビッグデータ解析+基礎医学実験で突然死を防ぐ)』

4.瀬海 美穂 京都大学医学研究科分子腫瘍学特定助教『上皮細胞による”非自己(がん細胞)”認識メカニズム及び免疫系の関与の解明(上皮細胞がどのようにがん細胞を認識し排除するのかを明らかにする)』

5.田尻 怜子 東京大学新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 日本学術振興会特別研究員 (RPD)『昆虫クチクラの多彩な性質をつくりだす原理を探るための再構成系の構築(昆虫の「殻」を人工的に作ってみることで、その多彩な性質が生じる仕組みを理解する)』

6.堀口 道子 山口東京理科大学薬学部薬学科薬剤学・製剤学分野講師『細胞および臓器選択的ナノドラッグデリバリー製剤の開発(体の必要な場所に薬を届けるナノ技術の開発)』

7.日比谷 由紀 海洋研究開発機構海洋機能利用部門海底資源センター 学術振興会特別研究員PD『初期太陽系進化解明に向けた微小固体物質からのマルチ元素抽出法の開発(宇宙から来たミリメートルサイズの物質から元素を取り出して、太陽系の起源に迫る)』

8.森田 梨律子 理化学研究所生命機能科学研究センター細胞外環境研究チーム研究員『毛包表皮幹細胞へのlineage primingに寄与する細胞間相互作用の理解(毛包の幹細胞が胎仔期に生み出される仕組みを理解する研究)』

9.湯浅 磨里 東京医科歯科大学生体材料工学研究所助教『核内受容体の分解制御に着眼した新規レチノイド併用療法の開発(細胞内のタンパク質に注目し、その制御を行うことでこれまでの薬をさらに生かす研究)』

10.若林 里衣 九州大学工学研究院応用化学部門助教『高機能エマルション製剤の創製に向けた自己組織化ペプチドの活用(ペプチドが形成するネットワークをエマルションに導入することで、安定に薬剤を届ける製剤を開発する)』

参考:【株式会社資生堂】第13回「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」受賞者10名決定 ~未来のリーダーとなる女性研究者を支援し、次世代への裾野を広げる~

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大学ジャーナルオンライン編集部

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