角膜(黒目部分)の傷リスクとケア方法について啓発を行う「現代人の角膜ケア研究室」は、コロナ禍で目を酷使しがちな生活者の点眼薬の使用実態を把握するため、杏林大学医学部眼科学の山田昌和教授監修のもと、「コロナ禍の点眼薬使用実態調査」(2021年3月実施)を実施。その結果、4人に1人が適正回数以上にさし過ぎてしまっている実態が明らかになった。

 調査の結果、点眼薬ユーザーの47.5%がコロナ禍で点眼数が増加しており、そのうち、適正回数の上限6回を超える7回以上さしていると回答した人が26.0%で、約4人に1人が適正回数を超えて点眼していることが明らかになった。点眼薬をさし過ぎると、涙の油膜層が破壊され、角膜に傷がついてしまう可能性があるうえ、すでに傷がついている場合は、傷を悪化させることにもつながるため注意が必要だ。

 点眼薬の点眼回数に関する意識について聞くと、「回数の上限にはこだわらず、症状を感じるたびにさしている」人が48.8%と約半数にのぼり、点眼回数を意識していない実態と適正回数を超えた点眼のリスクを理解していないことが明らかになった。

 また、 防腐剤入りの点眼薬が角膜の傷に影響することを知っている人は、わずか7.4%にとどまった。点眼薬に含まれる防腐剤は、開封後の点眼薬への雑菌の増殖を防ぐために配合され、適正な用法用量で点眼される限りは特に問題はない。しかし、適正回数を超えてさし過ぎると、角膜を傷つけてしまう恐れがあり、また、既に角膜に傷がついている場合は、適正な用法用量の使用でも防腐剤が傷を悪化させる恐れがある。

 こうした情報を知っている人は、それぞれ、7.4%と9.6%にとどまり、点眼薬の防腐剤リスクについては、ほとんど知られていない現状が浮き彫りとなった。実際に使用している点眼薬について防腐剤無添加かを聞くと「分からない」と回答した人が66.5%となり、点眼薬を選ぶ際に防腐剤が選択基準になっていない人が多い状況もわかった。

 山田教授は、点眼薬の適切な使用と選び方について『特に、コロナ禍において、パソコンやスマホ、タブレット端末などモニターを見る機会の増加により目を使う時間が増え、目の疲れを訴える人も多く、中には角膜に傷がついている人もいらっしゃいます。目がゴロゴロしたり、チクチクとした痛みがあったり、以前よりも酷い症状を感じている人は、角膜に傷がついているかもしれまん。症状を感じる人は防腐剤無添加の点眼薬を選ぶなど、うまく点眼薬を活用していってほしいです。』と解説した。

※角膜に傷がついている状態は角膜上皮障害とも言い、「目の乾き」などの様々な原因から角膜が傷つき、発症する角膜の病気。

参考:【現代人の角膜ケア研究室】コロナ禍の実態調査で判明!点眼回数増加中! 4人に1人はさし過ぎ。点眼薬誤用によって 角膜の傷リスクが高まっている!?(PDF)

杏林大学

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