京都大学大学院医学研究科の三宅正裕特定講師らの研究グループは、診療報酬請求情報(レセプト)の国内全データを解析することで、中心性漿液性脈絡網膜症という特殊な網膜剥離が年間に10万人当たり34人発症していることを明らかにした。

 京都大学によると、中心性漿液性脈絡網膜症はものを見るための中心部分に当たる黄斑部に網膜剥離が起きる病気で、自然に回復する急性型と再発を繰り返す慢性型がある。慢性型は先進国の主要失明原因の1つに当たる加齢黄斑変性と類似した症状を示し、長期観察で深刻な視力低下を引き起こすことが分かってきた。

 研究グループがレセプトデータを解析し、2011年1月から2018年12月の間に新規発症した中心性漿液性脈絡網膜症の傾向を特定した。人口10万人当たりの年間発症数は34人、うち75.9%が男性だった。発症のピークは男性が40~44歳、女性が50~54歳。女性の方は少し年齢が高くなって発症しやすいことも分かった。

 今回の研究は中心性漿液性脈絡網膜症の疫学研究としては世界最大の報告。全国民のレセプトデータがあるのは、日本と台湾、韓国に限られ、膨大な量に上るレセプトデータの有効活用事例としても注目を集めそうだ。

論文情報:【British Journal of Ophthalmology】:Incidence of central serous chorioretinopathy (2011-2018): a nationwide population-based cohort study of Japan

京都大学

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