昨今、大学においても電子媒体で記録が残されるケースが増えている。従来の紙媒体での記録と同様に考えることはできない。研究情報・データの電子ファイルを適正に取り扱うためのルール整備が急務とされてきた中、名古屋工業大学は「名古屋工業大学における研究データ管理の指針」を制定、2017年4月より運用を開始した。

 この指針は、同学工学教育総合センターによる「研究情報の適正な取り扱いを促す研究倫理教育を推進するプロジェクト」が調査した、現状での研究資料の取り扱いの実態や抱えている問題点が基礎となったもの。フォルダ・ファイルの区分けやデータ保管のルールを統一し、誰もが容易にファイルを判別できるよう定めた。学生向けには「研究データの管理(名工大方式)の手引」を配付し、研究データ管理の指導を行うという。研究不正防止や研究グループ内での情報交換円滑化へつなげるねらいだ。

 趣旨は、あくまで模範例であり、一律に強制するものではないというが、大学としての指針が設けられたことは、研究不正を未然に防ぐ重要な一歩だ。今後は学生へのさらなる倫理教育が期待される。

大学ジャーナルオンライン編集部

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