畿央大学大学院博士後期課程の田上友希氏と森岡周教授らの研究グループは、脳卒中後の体幹機能が4つの因子に分類され、さらにそれらが明確な難易度階層を持つことを明らかにした。
脳卒中後には体幹機能の低下が生じることが多く、これまでに多くの体幹機能検査が開発されてきた。しかし、評価項目や難易度の異なる複数の尺度が混在して用いられているため、「どの検査がどの能力を測定しているのか」が不明確なままで、臨床現場では結果の統合的な解釈が困難であった。
そこで本研究では、発症早期の脳卒中患者200名を対象に、代表的な4つの体幹機能検査(TIS-V、TIS-F、FACT、TCT)を実施し、得られたデータを統計学的に解析することで、体幹機能の構成要素を検証した。その結果、脳卒中後の体幹機能は単一の構造ではなく、「静的座位」「基本動作」「動的座位(挑戦的ではない)」「動的座位(より挑戦的)」の4因子から構成されていることを突き止めた。
さらに、各因子の難易度を検証したところ、これらは並列的な関係ではなく、「静的座位<基本動作<動的座位(挑戦的ではない)<動的座位(より挑戦的)」という段階的な難易度の階層構造を有することが示された。従来の評価法では、これらの因子が混在してスコアリングされていたため、「静的保持は可能だが、回旋を含む動的動作のみが困難」といった患者が抱える特異的な課題が見過ごされていた可能性がある。
本研究で示された4因子モデルを用いることで、患者が「どの段階の」「どの因子」に問題を抱えているのかをより正確に把握できるようになり、回復段階に応じた適切な目標設定や、個別化されたリハビリテーション介入の実現につながることが期待される。

