ハーバード大学、学習院大学、東京大学、プリンストン大学の共同研究グループは、子どもを持つことへの意欲(出生意欲)が結婚行動と関連していることを明らかにした。
日本を含む東アジアは、世界で最も少子化が進んでいる地域であり、その要因に関心が集まっている。日本では婚外子が少なく、既婚夫婦が持つ子どもの数は大きく減っていないことから、少子化の主因は結婚の減少(未婚化・晩婚化)とする見方が一般的であった。
一方、日本では「結婚は出産の必要条件である」という規範が根強い。このため、子どもが欲しくない、あるいは判断を迷っている人々が、結婚を避けたり先延ばしにしたりするという、従来の説明とは逆の因果関係が存在する可能性がある。本研究では、これを「子ども志向の結婚」仮説として検証した。
国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」と東京大学社会科学研究所の「若年壮年パネル調査」のデータを用いて、出生意欲、結婚意欲、結婚行動の関連を分析した。その結果、出生意欲と結婚意欲には強い正の相関があることが確認された。すなわち、子どもを持つことに積極的な人ほど結婚に対しても前向きである一方、子どもを持つことに消極的あるいは不確実な人ほど結婚意欲が低いことが示された。
さらに、出生意欲が低いあるいは不確実な人は、結婚意欲を統制してもなお結婚に至る確率が低いことが明らかになった。男性では、出生意欲が低い場合、パートナー探し(婚活)にも消極的になる傾向が確認された。
これらの結果は、結婚意欲とは独立に、出生意欲そのものが結婚行動に影響を与えている可能性を示唆している。子育て支援と結婚支援を切り分けてきた従来の議論を見直し、未婚者が抱く子どもを持つことへの不安や不確実性を軽減することが、少子化対策として重要である可能性が示された。

