知りたいことがあれば、いつでもPCやスマートフォンで情報を得られるようになり、私たちの暮らしはすでにIT(Information Technology)と切っても切り離せなくなっている。2017年に、「未来投資戦略2017」及び「経済財政運営の基本方針2017」が閣議決定された。経済社会の中長期的な成長を実現していくため、第4次産業革命の技術革新をあらゆる産業や社会生活に取り入れることで、様々な社会課題を解決するSociety 5.0を世界に先駆けて実現すると政府はしている。すなわちあらゆるモノがインターネットにつながり、そこで蓄積される様々なデータを人工知能などを使って解析し、新たな製品・サービス の開発につなげ、社会課題を解決していくという。
Society 5.0は、人間を中心とした情報社会の理想の姿を提示。また、今全世界で取り組みが進んでいるSDGs (Sustainable Development Goals)は、環境問題をはじめ人権問題など、社会課題をわかりやすい形に分類し、目標として具体化することで、持続可能でよりよい世界を目指し問題の解決を進めている。
この科目では、この二つと、データサイエンス、AIの基本をそれぞれ理解し、社会課題を解決するためのフレームワークを身につける。日常のささいな違和感や疑問も、このフレームワークを応用すれば、解決するために必要なこと、自分がやるべきこと、もっと学ぶべきことが見えてくる、そんな汎用性の高い内容になっている。
また、担当する教授陣がこれまでに大手企業や研究所で手掛けてきた研究開発は、廃棄物を利用したエネルギーシステムの開発、自動車の車群追従走行の安全性メカニズムの研究、メーカーの情報システム開発における生産性と品質向上、各種製品システムのライフサイクルの環境評価など多様だ。社会経済の第一線で問題解決に取り組んできた実務家教員ならではの経験と様々な視点から、社会とデータサイエンスやAIといった工学技術のあり方を、絵に描いた餅ではなく、ほんとうに食べられる美味しい餅にどうやってするか、その指導に力を注ぐ。
今年度は学部・学科横断の選択科目として開講。しかし、土曜開講にもかかわらず130名を超える学生が履修している状況を見れば、学生の興味の高さもわかる。
「今、求められているものは課題解決能力もさることながら、課題発見能力ではないか」と担当である先進工学部情報メディア工学科の辻村 泰寛教授は話す。学び方はそれほど難しくない。しかし、各単元をひとつずつクリアしていくことで、それぞれがつながり、全体像をつかめるようになっている。また、頭に浮かんだ疑問を、このフレームに当てはめてみることで、課題を発見し、新たに研究したいテーマも見つけることができるかもしれない。シンプルな構成だが、受講し積み重ねて学習した先に得られるものは想像以上に大きいのではないかという印象を受ける。AI人材の養成が急務といわれる現在において必要不可欠な科目と言える。
参考)
総務省情報通信白書平成29年版
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/h29.html
内閣府 科学技術政策 Society 5.0
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/
外務省 JAPAN SDGs Action Platform
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
辻村 泰寛 教授
日本信頼性学会理事、日本設備管理学会理事、(社)日本経営工学会第29期表彰委員会委員長、(社)電気学会進化技術体系化と応用調査専門委員会幹事、経営工学関連学会協議会代表者会議メンバー(日本信頼性学会代表)
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