2024年春、予測困難なVUCA時代の世界をリードする人材を輩出するために甲南大学にまったく新しいグローバル教育プログラム「グローバル教養学位プログラム(英語名称『STAGE』Special Track for Accelerated Global Education)」(以下、STAGE)」が誕生する。1学年25名という少数精鋭体制で、VUCA時代に社会の第一線で活躍する人材を育成する。
培われてきたグローバル教育をさらに進化させた「STAGE」
甲南大学は、文理計8学部の総合大学ながら、学生と教員の距離も近く、また様々な学部間での交流も活発に行われているのが特色の一つだ。その中で培われてきたこれまでの教育をさらに進化させたSTAGEは、文部科学省の「学部等連係課程制度」に則した学部相当の教育組織「グローバル教養学環」を新たに設置し、その中で従来の学部の枠組みを越えて、複数の学問分野が融合して行う新たな教育プログラムである。
「世界情勢は刻々と変化し、予測困難な状況が続いている。そのような時代に求められているのはグローバルとローカル両方の視点と経験を持ち、様々な課題に向き合い解決していける人材です。STAGEはそうしたグローカルな人材を育成するために、様々な新しいプログラムを用意します」とSTAGE開設準備委員会委員長を務める野村和宏教授は語る。
STAGEの学びでは、OECD(経済開発協力機構)が定める
“GLOBAL COMPETENCE”が身に付く。
「GLOBAL COMPETENCE」とは、1,異文化の人々とオープンに適切かつ実効性のある意志の疎通を行う。2,地域、グローバルそして異文化の問題を考察する。3,他者の視点と世界観を理解し、その価値を認める。4,“well-being”と持続可能な発展のために行動する。以上の、OECDがグローバル社会の中で生きていくために最も重要だと判断した「他者と共存しながらコミュニケーションを図り、行動していく力」を指す。
(参考・出典:甲南大学ホームページおよびhttps://www.oecd.org/pisa/handbook-pisa-2018-global-competence.pdfより)
1学年25名の特別な教育プログラムのSTAGEでは、卒業時に「学士(グローバル教養)」の学位を取得しグローバルキャリアを目指すことが可能だ。1年次から4年次まで取り組むゼミでは11名の専任教員がアカデミックアドバイザーとしてチーム体制で指導にあたり、学生の成長を支える。
STAGEならではの複数言語圏への「ダブル留学」
STAGEは「複数言語圏へのダブル留学」を卒業の要件にしている。2年次後期以降を海外学習推奨期とし、学生は約半年〜1年の中長期留学に臨む。さらに中長期留学の前後いずれかに、別の言語圏への短期留学を行うことで、在学中に2カ国での海外学習を経験し、英語+他言語の運用能力向上、異文化に対する理解とコミュニケーションにおける調整能力を身につけることが目的だ。英語圏だけではなく、さまざまな言語や文化に触れることで、異なる文化や社会に対する寛容性を育み、またその価値観の違いやそれに起因する様々な問題を解決する能力を磨く。
また留学中もSTAGE演習(ゼミ)をオンラインでつなぐことで、海外で実践力を磨きながらゼミでの研究に活かしていくことも可能だ。
留学先は、21ゕ国146校から選ぶことができ、留学費用も短期留学(1回分)は免除され、中長期留学についても交換・派遣留学の場合には留学先の授業料が免除されるなどのサポートも充実している(※留学先によって条件は異なる)。
複数言語の運用力をはじめ、社会科学、国際理解、データサイエンス・AIなども適切に組み合わせて学ぶほか、企業や行政等と連携して地域課題の解決に取り組むグローバル実践プロジェクト科目で、海外経験や社会科学、データサイエンス等の幅広い学びを活かして、課題解決に取り組み、政策・立案力についても身につける。
卒業後の進路は、世界レベルで活動する各種団体・民間企業への就職、また国際公務員を目指して大学院へ進学するなど多様な選択が可能だ。就職に強いことでも知られる甲南大学のキャリアセンターが全面的にバックアップする。
自分の可能性に気付き、未来に歩き出す力をつける
来春の開設を前に、STAGEの拠点となる岡本キャンパスでは、ゼミやプロジェクト学習を実施するための新施設の準備が着々と進んでいる。新しい施設のひとつ「Global Connecting Passage」には、壁一面の大型スクリーンが設置され、随時グローバルニュースが流れる予定だ。日常的に、そしてタイムリーに世界情勢を知る環境を整える。オープンなガラス張りの施設では、TEDのようなイメージでの成果発表やイベントの実施、大型スクリーンを活用しての海外大学とのCOIL型授業も予定している。
最後に野村教授からエールを頂いた。「長年、学生の皆さんと接してきた中で感じているのは、自分の可能性に気付けていない人がとても多いということです。それは本当にもったいない。STAGEでは、皆さんの可能性を引き出す様々なプログラムを用意しています。私の大好きな格言に『港にいる船は安全だ。しかし、船は港に置いておくために造られたのではない』という言葉があります。ぜひ甲南大学のSTAGEで自分でも気付いていない可能性への手がかりをつかみ、一緒に輝かしい未来に向かって歩み出しましょう。教職員は全力で皆さんを支えていきますので、安心してSTAGEの学びにチャレンジしてください」