理学部、工学部、生命環境学部、建築学部、総合政策学部の文理5学部を擁し、地球規模の課題に取り組む一大研究拠点として存在感を放つ神戸三田キャンパス(以下KSC)。2025年4月に開設30周年を迎えるのを機に、KSCの近接地に「地域・社会との連携拠点となる郊外型インキュベーション施設」「学生寮」「商業施設」を備えた複合施設KSC Co-Creation Village【C-ビレッジ】を開設する。「Be a Borderless Innovator(境界を超える革新者たれ)」というコンセプトのもと、学生、教職員だけでなく、地域住民、企業とともに、まち全体で起業へ取り組む機運を盛り上げていく。

 


学生、市民、企業、自治体、教職員が協働し、
地方創生に資するアントレプレナーシップを育む

 関西学院大学は、宣教師ウォルター・ラッセル・ランバス氏によって開設された学校をルーツとし、現在、14学部14研究科、8キャンパスを擁する総合大学だ。なかでも1995年に開設された神戸三田キャンパスは、文理横断の学びを実現する最先端の学術拠点として発展してきた。2021年には、兵庫県、三田市との間で「神戸三田国際公園都市の地域振興に係る連携協力協定」を締結。これを受け、起業を志す人たちを産学官民が連携して支援する、地域に開かれた複合施設KSC Co-Creation Village【C-ビレッジ】を立ち上げる。

 中核となるインキュベーション施設Spark Base【S-ベース】では、具体的な取り組みとして以下の3つを掲げる。
①起業家の育成:社会課題を解決するための「起業」を多角的に支援する
②研究成果の社会実装:大学で創出された「知」を起業に結び付ける
③地域課題の解決:対話をもとに、「地域力」の向上に貢献する

 学生だけでなく、地域住民、企業、自治体も利用可能で、大学がこれらの人々をつなぐハブとなって交流・協働しながら、「新たな価値の創造による社会変革」の波をおこしていく考えだ。理想は施設に集う人々が人生のどこかで起業をし、社会課題の解決に貢献すること。同大学がありたい姿として標榜する”垣根なき学びと探究の共同体(ラーニングコミュニティ)”を体現する新たな拠点となるだろう。

アイディアを磨く、事業を立ち上げる、運営する。
起業に必要な「場所、情報、助言、ネットワーク」を提供

 【S-ベース】では、起業を推進するために必要な「場所、情報、助言、ネットワーク」を提供し、起業に向けたアイディアを磨くステージ、実際に事業を立ち上げ、運営するステージまでを支援していく。

 具体的に施設内部を紹介していこう。まず1階エントランスを入ると、ワークショップルームやカフェなど、開館時間中、誰でも利用できる「フリーエリア」が広がっている。その奥は「会員(無料)エリア」で、プロジェクトスペースやミーティングルーム、3Dプリンターなどの機器を備えた“デジタルファブリケーションエリア“、映像撮影が可能な”VRスタジオ“など、起業実践の場として活用できる。

 2階は、「会員(有料)エリア」。レンタルオフィスやコワーキングスペース、オープンキッチンを備えたコミュニティエリアなどがあり、本格的に事業化を行う拠点として24時間利用可能となっている。今後はさらに、セミナー、交流イベント、専門家相談(法律、経営、資金調達など)などの支援体制も整えていく計画だ。

 2024年度はまず、協働する地域住民や企業とのネットワークを構築する期間と位置づけ、「地域連携ワークショップ」「地域創生ワークショップ」「中高生向けアントレプラナーシップ育成ワークショップ」「大学発スタートアップおよびスタートアップエコシステムに関するイベント」などを計画中とのこと。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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