水痘(水ぼうそう)ワクチンを定期接種するようになり、神戸市中央区脇浜海岸通の神戸こども初期急病センターを受診した小児水痘患者が任意接種の時代に比べ、約6割減っていることが、神戸大学大学院医学研究科の山口宏特命助教、野津寛大教授、神戸こども初期急病センターの石田明人センター長らの調査で分かった。

 神戸大学によると、研究グループは臨床データベースを利用して2011年から2019年までに神戸こども初期急病センターを受診した16歳未満の患者約26万5,000人のうち、水痘と診断された3,092人を調査した。

 その結果、水痘ワクチンが2014年10月に定期接種になる前は年間約500人の患者が出ていたが、定期接種になったあとは約200人に減少した。さらに、患者数は予防接種前の0歳児でも減少傾向が見られた。同居する年長の兄弟姉妹の感染が減ったため、0歳児も感染の機会が減少したとみられる。

 水痘で受診する患者の約6割がワクチン未接種で、近年受診患者の年齢層が上昇していることも明らかになった。水痘患者の減少により、直接医療費だけで年間約400万円の減少が確認された。

 水痘ワクチンが任意接種だった時代の接種率は4割程度。研究グループは未接種の人に接種を推奨し、費用を補助することで水痘患者をさらに減少させることができるとみている。

論文情報:【Journal of Infection and Chemotherapy】Epidemiological impact of universal varicella vaccination on consecutive emergency department visits for varicella and its economic impact among children in Kobe City, Japan

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